このブログは、podcast「人事・労務の豆知識」をもとに作成しています。
内容は配信当時の法律・報道などを基に、個人の見解を交えたものになっております。

今週は、質問箱にお寄せいただいたご質問から回答いたします。

扶養の壁についての補足

いつも配信を楽しく聞いております。
さて、第236回の中で、 おやと思ったことが ありましたので、質問させてください。
今回の配信で 106万の壁、 130万の壁を越えたところで、以下のことが起きると認識し ました。
・106万の壁: 社会保険に加入する
・130万の壁:配偶者の社会保険の扶養から抜ける
逆に言えば、106万~129万の場合では、 社会保険に加入しつつ、配偶者の社会保険の扶養に入っていられるということでしょうか。今までは、社会保険の加入のタイミングで、配偶者の社会保険の扶養から抜けるものと思っていましたので、おやっと思いました。

話を始める前の前提条件を述べずに進めてしまったので、106万円から129万円はどうなるのか、といった疑問が生まれたのではないかと思います。

まず、「扶養」というのは、配偶者の扶養として130万円の「壁」が以前から存在していました。もともと130万円の「壁」は、配偶者の社会保険の扶養から外れるタイミングとなっていました。すなわち、130万円を超えると扶養から外れるというポイントが、130万円だったのです。

そして、新しい社会保険の適用拡大制度として、週20時間以上働き、月収入が88,000円以上の人は社会保険に加入しなければならない、というルールが新たに設けられました。それが、106万円の壁です。その106万円の「壁」が適用されるのは、101人以上の従業員が社会保険に加入している企業です。つまり、社会保険に加入している人数が100人以下の企業では、この106万円の「壁」は適用されません。100人以下の企業では、フルタイムの3/4以上働く場合に加入が必要であり、多くの企業では週30時間以上働く場合に社会保険加入が必須となっています。

100人以下の企業では、20時間以上働いても社会保険に加入しなくても良いので、106万円の「壁」を意識する必要はありません。ただし、そのような企業でも130万円を超えると、扶養から外れるという制度が存在します。

一方、101人以上の従業員がいる企業では、週20時間以上働き月収入が88,000円以上であれば社会保険に加入しなければならないというルールが適用されます。本人が社会保険に加入するタイミングで、扶養から外れます。

したがって、106万円の「壁」がある企業においては、106万円に到達し社会保険に加入すると、自動的に扶養から外れます。逆に、106万円の「壁」がない企業で働いている場合は、自分の収入が130万円を超えた時点で扶養から外れる形となります。

そこで前回の、「106万円の場合は社会保険に加入」「130万円の場合は配偶者の社会保険の扶養から抜ける」という話になるのです。

106万の壁についての補足

106万円の「壁」について補足しますと、厳密にいうと、106万円以上稼ぐことになったら社会保険に入らなければいけない、というわけではないんです。社会保険の必要性は、どれだけ稼いでいるかというより、どれだけ働いているかが重要なのです。ちなみに、106万の壁がない会社でも、フルタイムで週40時間の会社では、週30時間以上働くと基本的に社会保険に加入しなければいけません。130万円の稼ぎとは関係ありません。

そして、106万円というのは、週20時間以上働くことと、月88,000円以上稼ぐことを意味しています。月88,000円は、年間で約106万円になるので、わかりやすく「106万円の壁」と呼ばれています。従って、この「106万円の壁」という言葉は、年収106万円よりも、週20時間以上・月収88,000円と理解するのが正確です。

「106万円の壁」という言葉が一般的に使われているのは、少し違和感があるなと思います。私も使用してしまっていますが。

代休はタダ働き?

私は新卒で働き始めた22歳の者です。 定時は10時から18時、 休憩1時間の実働7時間です。このシステムが固定で、朝6時スタートであれば14時までが定時といった具合です。
残り1時間分は残業代として固定で支払われています。 なので10時スタートとすると、 19時までは残業代が発生せず、それ以降になると別途発生するとされています。
休みは土曜と祝日が公休 日曜が法休です。ここで2点質問があります。 休日に仕事が入った時の事で、土曜の場合それより前の1週間のうちに、日曜はそれより後の1週間のうちに取れれば振休、その期間中に取れなければ代休と説明されています。
このシステムは法律的に正しいのでしょうか?
また代休になると、 代休の日数×7時間分の時給が代休控除として差し引かれます。 このシステムもまた法律的に正しいのでしょうか?
個人的な印象としてはタダ働きさせられてるような感じがして、その差し引かれた分をボーナスでカバーされることを祈るばかりです…

結構しっかりしている会社のようですね。 この文章からは、会社が法令順守に取り組んでいることが従業員に伝わっていないケースという印象を受けました。それは残念なことだと思います。

法律の部分はきちんとカバーされているようですね。 就業時間に関して、業務の都合で時間が前後する場合の規定があるのでしょう。それであれば、問題はないでしょう。

固定残業代が1日当たり一時間分払われているとのことですので、8時間までは残業代が発生しないという設定になっているのも理解できます。その一時間分の給与がきちんと支払われていれば、問題はありません。

土曜日の休日出勤については、その前の一週間で振休を取得するという考え方がされているのは、週40時間の労働時間に収めるということですので、正しいです。日曜日の場合は、法定休日になりますので法律的には期限はありませんが、管理が煩雑になるので、日曜日の振休はその後の一週間で取得するという仕組みも問題ないでしょう。

振替休日については、休日勤務が発生する前にその日を振替休日として指定する必要があるのですね。例えば、日曜日に勤務する場合、その次の週の火曜日などを振替休日として指定する、というような形ですね。

休日出勤で振休が取得できなかった場合、休日手当が発生します。しかし、その代休で休んだ日に対しても手当が発生すると、二重払いになってしまいます。そのため、休日出勤手当が発生しており、代休分は控除されている計算方法は、問題はありません。

この会社は、法律を遵守している印象を受けます。しかし、休日出勤や代休の扱いについては、従業員の納得感が重要です。休日出勤手当をきちんと支払うだけで、代休を廃止するという考え方もあります。休日出勤のあとには、年次有給休暇を取りやすくするとか、そういう方法もあると思います。振休代休・・・特に代休控除が発生してる場合は、納得のいく説明が難しい部分です。

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