219.年度更新の季節です。

219.年度更新の季節です。-人事・労務の豆知識 Podcast

今回は年度更新についてお話いたしました。
5月末ごろから年度更新のお知らせが届いているかと思います。今年は少し計算方法が変わっていますので、お気を付けください。

年度更新のスケジュールについて

今週は年度更新のお話です。
5月の終わりごろ会社さんに緑色か青色の封筒が届いたかと思います。
この届いた封筒は年に1回ある、労働保険の年度更新という手続きについてのものですね。
こちらは7月10日が提出の締め切りです。
そのためもう少ししたらやればよいと思っていらっしゃる方がいたら、もうそれは大間違いですので早く取り掛かりましょう。
なぜ早くしなければいけないかというと、7月10日には社会保険の中でもうひとつ、算定基礎届の提出という締め切りがあるからです。
算定基礎届は4月5月6月に支払った給与をもとに健康保険と厚生年金保険の標準報酬月額の根拠となる数字を計算するので、6月支給の給与がはっきりしないと計算できません。
給与について毎月25日払いの会社さんは多いと思います。
その場合は6月25日の給与支給後、7月10日までに算定基礎届を提出しなければならないのです。
算定基礎届の計算の期間を考えると、6月前半に年度更新を終わらせておくというのがスケジュールとしてはマストかなと私は思っております。
そのため人事労務担当の方や今年開業して初めて年度更新の封筒が届いた経営者の方などは、6月前半に着手しましょう。

封筒の開封について注意点

小さなお話ですが、緑色か青色の年度更新申告書の封筒の開封は下部になっておりますのでご注意ください。
封筒の上部を切って開封すると、輪っかになって入っている申告書の切ってはいけないところが切れてしまうことがあります。
そうすると労基署で白紙の申告書をもらって一からやり直さなければなりません。
送られてくる申告書には労働保険番号や労働保険料率などが印刷してありますが、白紙になるとこれらを記入しなければなりませんので、申告書に傷をつけないようにお気をつけいただきたいと思います。

令和5年度の年度更新は例年よりも大変です

この7月10日までに提出をする年度更新は、例年と算定方法が異なります。

「令和5年度年度更新の手続を行う事業主の皆様へ」一部引用―厚生労働省HP

そのため例年と少し内容が異なる、今年の年度更新の申告書は下記になります。
年度更新は集計表で算出して、最終的にこちらの用紙を提出します。

「令和5年度の年度更新申告書のイメージ図」引用―厚生労働省HP

確定保険料について

確定保険料とは、前年度分の労働保険料を精算するものになります。
今年申告する確定保険料について、具体的には下記のステップで算定することになります。

「令和5年度年度更新の手続を行う事業主の皆様へ」一部引用―厚生労働省HP

ステップ1に取り掛かるときは、労働保険の「対象者の範囲」や「賃金の範囲」を確認して、カテゴリー分けを行ってください。
・労災保険と雇用保険の「対象者の範囲」を確認 ※役員の方などは注意
「事業主の皆様へ(継続事業用) 令和5年度 労働保険 年度更新の書き方」 P12~13参照―厚生労働省HP
・労働保険対象の「賃金の範囲」を確認 ※賞与のもれなどに注意
「事業主の皆様へ(継続事業用) 令和5年度 労働保険 年度更新の書き方」 P14参照―厚生労働省HP

例年の年度更新は賃金の集計後に労災・雇用の各保険料率(労働保険料率)をかけて、1年分まとめて労働保険料を算定することができました。
しかし年度の途中となる昨年10月から雇用保険料率が上がりましたので、今年は例年と異なります。
そのため繰り返しになりますが、ステップ2では確定保険料は今年に限りこれらを分けて算定する必要があります。

労災保険
前期(令和4年4月1日~令和4年9月30日)
後期(令和4年10月1日~令和5年3月31日)

雇用保険
前期(令和4年4月1日~令和4年9月30日)
後期(令和4年10月1日~令和5年3月31日)

例年だと労災保険と雇用保険の賃金合計が同じ場合、申告書には労働保険料としてまとめて一行で記入している会社さんもあるかと思います。
その場合であっても今年提出の年度更新では、昨年度の途中で雇用保険料率が変更されたことで労災保険と雇用保険を分けて算定する必要がありますのでご注意ください。

雇用保険の確定保険料は、前年度の保険料算定基礎額(千円未満切り捨て)に下記の保険料率をかけて計算します。
※保険料算定基礎額=賃金総額です。

「令和4年度雇用保険料率のご案内」一部引用―厚生労働省HP

前期と後期の雇用保険料率を踏まえ、ステップ3 確定保険料として算出した結果を年度更新申告書へ記入します。
下の画像では吹き出しで隠れておりますが、⑨(イ)(ロ)(ホ)には”32欄参照”という文字が入ります。
そのため今年提出の分は一番下に㉜が追加されております。

「令和5年度年度更新の手続を行う事業主の皆様へ」一部引用―厚生労働省HP

このように算定までの工程が多くなります。
いつもよりも時間がかかる心づもりをして後ろ倒しにせず、申告書の封筒を開けて中身を確認しておいた方がよいと思います。

概算保険料について

概算保険料とは、本年度分の労働保険料を前払いするものになります。
雇用保険の概算保険料は、本年度の保険料算定基礎額の見込額(千円未満切り捨て)に下記の保険料率をかけて計算します。
※保険料算定基礎額=賃金総額です。

「令和5年度雇用保険料率のご案内」一部引用―厚生労働省HP

一般拠出金について

労働保険料について
・前年度分を精算する、確定保険料
・本年度分を前払いする、概算保険料

ここまではこれら2つについてお話しをしました。
その上でもうひとつ申告・納付しなくてはならない、一般拠出金というものがあります。

「一般拠出金の申告・納付」一部引用―厚生労働省HP
※上記資料は2019年のものになりますが、2023年6月現在料率などに変更はありません。

先ほどご説明した確定保険料が前年に申告した概算保険料よりも低額or高額だった場合は、今年納付する概算保険料に差額分のマイナスorプラスを反映させて申告することになります。
これに加えて一般拠出金も労災保険適用事業の事業主さんが、前年度に労働者に支払った賃金総額(千円未満切り捨て)×1000分の0.02で計算して申告書に記入、先ほどの差額分を反映させた労働保険料に合算して納付します。
詳しくは石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金の徴収制度について―厚生労働省HPをご参照ください。

ちなみに、実際にやってみて驚いたポイントですが・・・・
例年、労災保険料の算定基礎額と、一般拠出金の算定基礎額は同額なのですが、
今年は、労災保険料は前後半に分かれ、一般拠出金は一年で計算するため、
数円ずれることがあります!

今週のPodcastでは
年度更新の電子申請についてもお話ししております。
弊所では年度更新のご依頼もお受けしておりますので、よろしければお問い合わせください。

219.年度更新の季節です。-人事・労務の豆知識 Podcast

今週はここまでになります。

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