215.障害者雇用納付金の話

215.障害者雇用納付金の話-人事・労務の豆知識 Podcast

今回は、障害者雇用の納付金についてお話いたしました。
法定雇用率の達成・未達成について、調整金や納付金がありますので手続きがあります。毎年、4/1~5/15までに、提出します。
ギリギリになってしまいましたが・・・・そのお話しです!

ご質問の内容

イチカワメグミ@恵社労士事務所ーPeing質問箱

ご質問に市川が回答します!

ご質問ありがとうございます。
今週は障害者雇用納付金について、遅くなり申し訳ございませんがご質問にお答えしてまいります。
申請の締め切りが5月15日と間近になっている状況です。
弊所でも毎年何件か申請手続きの代行をさせていただいております。
分厚い冊子の記入説明書(高齢・障害・求職者雇用支援機構HPリンク)もスタッフに見せてもらいましたが、こちらはかなり複雑ですよね。
まずこちらは御社と関係のないところは見なくてよいと思います。
申請について御社に当てはまるところを見ながら、高齢・障害・求職者雇用支援機構のお問い合わせ窓口にご相談をして手続きを進めていってくださいね。
なぜこのような回答になるのかというと、会社さんによってケースバイケースなので一般的にこうである、という回答が難しいということになります。
そのためここから先は、制度の概略についてお伝えいたします。

障害者雇用の人数について

国や地方公共団体、そして一般の事業主さんにも障害者雇用をする責務や義務があります。
法律でその雇用人数が定められており、2023年5月現在、民間企業の法定雇用率は2.3%です。
こちらは簡単に申し上げると従業員さんが43.5人以上いる場合に、1人以上の障害者雇用をしなければならないということになります。
そのため従業員さんが50人を超えるとハローワークから指導が来て、100人を超えるとその指導も厳しいものになってきます。

障害者雇用の調整金と納付金

先ほどの障害者雇用人数の義務を果たしているか否かで、調整金の支給があったり、納付金を納めたりということが出てきます。
障害者雇用納付金は常時100人を超える従業員さんがいる会社さんが対象です。

事業主のみなさまへ 令和5年度版 ご案内 より抜粋―高齢・障害・求職者雇用支援機構HP
(※常時100人以下の場合は、報奨金という別の制度があります。)

会社さんへ支給されるほうの障害者調整金は、法定の障害者雇用人数を超える数、1人につき月額27,000円です。
逆に会社さんが納付するほうの障害者納付金は、法定の障害者雇用人数が不足する数、1人につき月額50,000円です。
例えば常時100人を超える従業員さんがいる会社さんだと、障害者雇用人数は2人以上必要ですよね。
そのため対象期間の4月1日~翌年3月31日までの間に障害者の方を1人も雇っていない場合は、月額10万円・年額120万円の障害者納付金を高齢・障害・求職者雇用支援機構へ納めなければならないということになります。

事業主のみなさまへ 令和5年度版 ご案内 より抜粋―高齢・障害・求職者雇用支援機構HP

障害者雇用人数の数え方

障害者雇用人数を数えるときに必要なのが、「常用雇用労働者」と呼ばれる従業員さんの数になります。
民間企業の場合は、「常用雇用労働者」×2.3%=法定の雇用障害者人数ということですね。
※上記について障害者就業が困難と認められる業種は、除外率も含めて計算します。

「常用雇用労働者」とは
1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であり、1年を超えて雇用される者(見込みを含む)をいいます。

「常用雇用労働者」の数え方(月ごとに把握すること)
・1週間の所定労働時間が30時間以上=「常用雇用労働者」1人としてカウント
・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満=「常用雇用労働者」0.5人としてカウント

※「常用雇用労働者」は似た要件から、雇用保険加入者の人数とイコールになるような気がしてしまいますが、昼間学生の方なども1週間の所定労働時間によっては「常用雇用労働者」に入ることがあるため注意が必要です。

令和5年度 障害者雇用納付金制度 申告申請解説動画 PDF18枚目ー 高齢・障害・求職者雇用支援機構HP

この「常用雇用労働者」人数のカウントには、雇用契約の名称を問わないため広い範囲の労働者の方が対象となります。
詳しくは『事業主のみなさまへ 令和5年度版 ご案内 より抜粋―高齢・障害・求職者雇用支援機構HPの5~7ページ』(リンク)をご参照ください。

実際の法定障害者雇用率について、例えば「常用雇用労働者」が168人の場合に計算は
168人×2.3%=3.864人
1人未満の端数は切り捨てになるので、3人以上の障害者雇用が必要ということになります。

そしてこの3人以上と算定された障害者の方の数え方にもルールがあります。
ここでは労働時間と障害の状態によって算定方法が変わってきます。

労働時間の区分について
・1週間の所定労働時間が30時間以上=「短時間以外の常用雇用労働者」
・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満=「短時間労働者」

※その他に特例給付金を申請する際は、1週間の所定労働時間が10時間以上20時間未満=「特例短時間労働者」も算定します。

障害の状態による算定のルールについて(一部をご紹介)
・「短時間以外の常用雇用労働者」である障害者の方の場合は1人につき、1人の障害者雇用人数とします。
・「短時間以外の常用雇用労働者」である重度の身体障害者と重度の知的障害者の方は1人につき、2人の障害者雇用人数とします。

・「短時間労働者」である障害者の方の場合は1人につき、0.5人の障害者雇用人数とします。
・「短時間労働者」である重度の身体障害者と重度の知的障害者の方の場合は1人につき、1人の障害者雇用人数とします。

・その他、「短時間労働者」である精神障害者の方の場合には一定の要件を満たすと1人につき、1人の障害者雇用人数とする特例措置があります。

事業主のみなさまへ 令和5年度版 ご案内 より抜粋―高齢・障害・求職者雇用支援機構HP

こういった算定を対象期間4月1日~翌年3月31日の分、月ごとにおこなって高齢・障害・求職者雇用支援機構へ申請するという流れになります。

事業主のみなさまへ 令和5年度版 ご案内 より抜粋―高齢・障害・求職者雇用支援機構HP

はじめにも申し上げた通り、会社さんによって算定方法などが異なりますので今回は簡単に制度の概略をお伝えした形となります。
詳しくは記入説明書(高齢・障害・求職者雇用支援機構リンク)をご覧になりながら、お問い合わせ窓口(高齢・障害・求職者雇用支援機構リンク)にお尋ねになるのがよろしいかと思います。
障害者雇用納付金制度の解説動画(高齢・障害・求職者雇用支援機構リンク)もありますので、ご参考になさってください。

今週のPodcastでは
障害者雇用納付金等の複雑な申請の概略について、ポイントを押さえてわかりやすく解説しております。

なかなか難しい制度ではございますが、ご理解の一助になりますと幸いです。

215.障害者雇用納付金の話-人事・労務の豆知識 Podcast

今週はここまでになります。

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