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産業医の解任・辞任があったら報告が必要に?!~令和8年8月施行の新ルールを解説~

令和8年8月1日から、産業医の解任・辞任があった場合には、遅滞なく所轄労働基準監督署長に報告することが義務付けられる予定です。この改正について、その背景と内容、そして企業として必要な対応を解説します。

1.はじめに

産業医は、労働者の健康管理を行う上で重要な役割を担っています。 労働者の健康管理に重要な役割を担っていることから、一定規模以上の事業場には選任とその報告が義務づけられており、令和8年8月1日からは解任・辞任があった際にも報告が義務づけられることになる予定です。


2.産業医制度の概要

産業医とは、事業場における労働者の健康管理等を行うために選任される医師のことです(労働安全衛生法第13条)。

常時50人以上の労働者を使用する事業場では産業医の選任が必要であり、常時1,000人以上(一定の有害業務に従事する場合は500人以上)の事業場では専属産業医を置く必要があります。

選任が必要な要件を図で整理すると以下のとおりとなります。

産業医選任義務_人数要件の画像

常時使用する労働者数の計算においては、「事業場ごと」、「派遣労働者も含む」等のポイントを押さえる必要があります。


3.産業医の主な職務

産業医の主な職務は労働安全衛生規則第14条に規定されており、次のとおりです。

①健康診断の実施とその結果に基づく措置
②長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置
③ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導の実施及びその結果に基づく措置
④作業環境の維持管理
⑤作業管理
⑥上記以外の労働者の健康管理
⑦健康教育、健康相談、労働者の健康の保持増進のための措置
⑧衛生教育
⑨労働者の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置

ほかにも、下記のものがあります。

⑩職場巡視 労働安全衛生規則第15条
⑪衛生委員会への参加 労働安全衛生法第18条

いずれも労働者の健康管理において重要な項目です。産業医と連携し、労働者の健康管理を実施していきましょう。


4.改正の背景

産業医は、常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任が義務付けられており(労働安全衛生法第13条)、労働者の健康管理において重要な役割を担っています。

これまでは、産業医を「選任」した際には所轄労働基準監督署長への報告が必要でしたが、「解任・辞任」があった場合については所轄労働基準監督署長への報告義務はありませんでした。
この点について、令和7年5月7日の衆議院厚生労働委員会において「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」の附帯決議が採択され、産業医の解任・辞任時にも報告を行う仕組みの整備が求められました。

その後、令和8年3月16日に開かれた労働政策審議会安全衛生分科会に労働安全衛生規則の改正案が提示され、「妥当」との答申を受けました。これにより、令和8年(2026年)8月1日から、産業医の解任・辞任があった場合にも所轄労働基準監督署長への報告が義務付けられる予定になりました。


5.改正の内容

産業医の解任・辞任があった事業者は、遅滞なく、以下の事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならないとされています。

【報告事項】
①解任・辞任した産業医の氏名
②解任・辞任した年月日

この報告義務は、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場が対象となります。

なお、選任報告(産業医を新たに選任した場合の報告)は以前から義務付けられており、今回の改正でそれに加えて解任・辞任報告も義務化されることになります。


6.報告の方法・手続き

解任・辞任の報告は、任意の様式を用いて、所轄の労働基準監督署長に提出する形となります。
提出方法は、書面による提出のほか、「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告(産業医の選任報告)」の様式を使用すれば電子申請も可能です。

報告のタイミングは「遅滞なく」とされており、解任・辞任後速やかに手続きを行う必要があります。

また、報告には「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告(産業医の選任報告)」を使用することができます。

なお、後任の選任報告で前任者情報を届け出れば、解任・辞任報告が不要となる規定が設けられる予定です。

厚生労働省 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告(産業医の選任報告) はこちら

総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告(産業医の選任報告)_解任報告時の画像

出典:厚生労働省 第184回安全衛生分科会資料

報告は任意の様式でも可能とされていますが、特にこだわりがなければ上記の方法で行うとよいでしょう。


7.まとめ

令和8年8月1日より、産業医の解任・辞任があった場合の所轄労働基準監督署長への報告義務化が予定されています。この改正は、労働者の健康管理の実効性を高めることを目的としています。
企業としては、産業医の解任に際して適切な手続きが求められることを認識し、今から事務手続きの流れを確認しておくことが大切です。

また、産業医の選任を行うべき事業場に該当するかを計算するためには「事業場ごと」、「派遣労働者も含む」といった点を押さえる必要があるため要注意です。

産業医の選任は法的に義務づけられており、選任を怠った場合は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(労働安全衛生法第120条)。
労働者の健康管理のためにも、しっかりと選任等を行うようにしましょう。

ご心配やご不明な点等ございましたら弊社までお問い合わせください。 最後までお読みいただき誠にありがとうございました。


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髙山 暁

執筆

髙山 暁

前職は速記士として活動。保険知識の不足を実感したことと、経営者・労働者が気を配りにくい部分を支えたいと思ったことから、社労士を志し、2021年社労士試験に合格。2024年にバラスト社会保険労務士法人へ入社し、社会保険手続きや日常的な労務対応を数多く担当。初めて顧問先のお手続きを完了した経験を糧に、誠実かつ穏やかな対応で信頼を得ている。

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