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取締役など会社役員の「労働者性」~労働者に該当しないか?確認しましょう~

労働者

労働時間の適正な把握は、会社として管理すべき重要なアイテムの1つです。 以前のコラムでは「労働時間か?判断に迷いそうケース」をご紹介しました。今回はその延長として、「取締役など会社役員の労働者性」について解説します。(※お役立ち資料「労働時間の管理」も現在準備中です)

1.「労働者性」の判断基準は?~「労働基準法研究会報告」より

労働基準法(第9条)における「労働者」に該当するかどうかは、請負契約や委任契約など、契約の形式や名称にかかわらず、働き方の実態に基づいて判断されるとされています。たとえ形式的にそれら契約であっても、実質的に会社との使用従属関係が認められ、指揮監督下で労務を提供し、その労務の対償として報酬が支払われている場合は、労働基準法の「労働者性がある」と判断されることがあります。

ここではまず参考として、労働者性の判断基準に関する基本的な考え方を示した、次の資料をご紹介します。

◆ 「労働基準法研究会報告(厚労省資料)」(研究会報告書、S60.12.19)

同報告書によると、「労働者性」の判断は、以下の要素を個別事例に当てはめ、総合的に判断するとされています。

   1.「使用従属性」に関する判断基準

    (1)「指揮監督下の労働」に関する判断基準

      イ 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

      ロ 業務遂行上の指揮監督の有無

      ハ 場所および時間に対する拘束性の有無

      二 代替性の有無(本人に代わって他の者が労務を提供することが認められているか等)

    (2)報酬の労務対償性に関する判断基準

   2.「労働者性」の判断を補強する要素

    (1)事業者性の有無(機械、器具の負担関係、報酬の額など)

    (2)専属性の程度(他社業務への従事制約、報酬の生活保障的な要素の強さなど)

    (3)その他(採用等の選考過程、給与所得としての源泉徴収、服務規律の適用など)

※さらに詳しい裁判例等が掲載された資料は<<こちら>>をご参照ください。


2.取締役など会社役員の「労働者性」の判断基準は?

取締役など会社役員は、一般的に会社との間に「委任契約」が成立しており「労働契約」ではないので、労働者には該当しないとされています。しかし、委任契約であっても、前述のとおり、実態として会社の指揮命令下で働き、対償として報酬を受けている場合、「労働者性」が認められることがあります。具体的には、次の要件のすべてに該当する場合、労働者性があると判断される可能性が高いとされています。

   ・代表権や業務執行権を有していない

   ・取締役であると同時に、部長・支店長・工場長など、従業員としての身分を合わせ持っている

    (例:取締役兼工場長、取締役兼営業部長など)

   ・委任契約に基づく役員報酬とは別に、労働の対価として基本給が峻別して支給されている

◆ 参考資料>> 「労働者の範囲(厚生労働省資料)

(※法人役員のほか、同居親族や出向労働者等についても記載があります)


3.「労働者性」が認められる場合の留意点

役員について「労働者性」認められ、労働者としての部分について時間外労働が行われた場合、労基法上の「管理監督者」に該当しないかぎり、割増賃金の支払い義務が生じることになります。また、役員報酬よりも労働の対価として支払われる基本給の方が高い場合、雇用保険の被保険者に該当する可能性もあります。(その場合は、兼務役員に係る資格要件証明証など、手続き書類も増えるようです)十分な注意が必要ですね。

◆ 参考>> 「Q4 取締役や会社の役員は雇用保険に加入できるのでしょうか」(厚労省Q&A)

※なお社会保険では、「役員であっても、労務の対償として報酬を受ける場合は、会社に使用される者として被保険者とする」とされています。「労務の対償として報酬を受ける」(常勤役員か非常勤か)等の判断については、「別コラム」で解説しています。


4.まとめ

取締役の労働者性は、形式的な地位や肩書ではなく、実質的な業務遂行状況、指揮命令監督の関係に基づいて労働し、対償として賃金が支払われている実態があるか等を、個別具体的に総合判断されるものとされています。状況を具体的に確認することがとても大切といえるでしょう。

「うちの会社の役員の取扱い、確認してみようかな」と感じたら、ぜひこの機会にチェックしてみてください。

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鵜頭 克明

執筆

鵜頭 克明

明治大学法学部卒。事務機販売会社に30年余り勤務。ソフトウェア企画部門で製品戦略やサポート体制構築に従事。その後、管理部門で取引先との開発委託契約や派遣先管理に関わる中、労働者を取り巻く環境に関心を深め、2023年社労士試験に合格。2024年8月にバラスト社会保険労務士法人へ入社。手続き・給与計算、助成金申請や就業規則改正などを担当し始めている。落ち着いた対応とロジカルな思考で、誠実なサポートに努めている。

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