バラスト社会保険労務士法人の合田です。2025年の主な法改正情報の概要についてまとめました。育児・介護休業と雇用保険の改正内容の詳細については、次回の担当コラムにて解説していきます。
1.養育期間標準報酬月額特例申出書の添付書類の省略が可能に(令和7年1月1日から)
今までは手続きの添付書類として、原則住民票、戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書が必要でした(マイナンバーがあれば住民票は省略可)。今後は、事業主が戸籍謄(抄)本等で申出者と養育する子の身分関係を確認し、申出書の「□確認済み」にチェックを入れた場合、戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書の省略が可能となりました。
日本年金機構/養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20150120.html
2.労働安全衛生関係の一部の手続の電子申請が義務化(令和7年1月1日から)
下記の手続きについて電子申請が原則義務化されます。
・労働者死傷病報告
・総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告
・定期健康診断結果報告
・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
・有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
・有機溶剤等健康診断結果報告
・じん肺健康管理実施状況報告
※労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス(https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/)で電子申請が可能です。e-Gov(https://shinsei.e-gov.go.jp/)を介して直接電子申請も可能です。
3.雇用保険法一部改正(令和7年4月1日から)
・自己都合退職者が、教育訓練等を自ら受けた場合の給付制限解除
・就業促進手当の見直し(就業手当の廃止及び就業促進定着手当の給付上限引下げ)
・育児休業給付に係る保険料率引上げ(0.4→0.5%)及び保険財政の状況に応じて保険料率引下げ(0.5→0.4%)を可能とする弾力的な仕組みの導入
・教育訓練支援給付金の給付率引下げ(基本手当の80→60%)及び当該暫定措置の令和8年度末までの継続
・雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付の暫定措置の令和8年度末までの継続
・「出生後休業支援給付」・「育児時短就業給付」の創設
・こども・子育て支援特別会計の創設
・高年齢雇用継続給付の給付率引下げ(15→10%)
厚生労働省/令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf
4.育児介護休業法等改正(令和7年4月1日から)
・子の看護休暇の見直し
・所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
・短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加
・育児のためのテレワーク導入
・育児休業取得状況の公表義務適用拡大
・介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
・介護離職防止のための雇用環境整備
・介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
・介護のためのテレワーク導入
厚生労働省/育児・介護休業法について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
5.育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定の義務付け等(令和7年4月1日から)
次世代育成支援対策推進法の改正で従業員数101人以上の企業は、一般事業主行動計画策定時に次のことが義務付けられました(100人以下は努力義務)。
・育児休業等の取得状況や労働時間の状況把握、改善すべき事情の分析が義務付け
・育児休業等の取得状況や労働時間の状況に係る数値目標の設定が義務付け
厚生労働省/次世代育成支援対策推進法
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11367.html
6.65歳までの雇用が全企業必須に(令和7年4月1日から)
平成24年度までに、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主は、継続雇用制度の対象者を限定する基準を定められましたが、4月1日以降は、全企業以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
・定年制の廃止
・65歳までの定年の引き上げ
・希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入
7.法定雇用障害者の数を算出する際の除外率が引き下げ(令和7年4月1日から)
障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(障害者の雇用義務を軽減)があります。除外率が、各除外率設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられることになりました(現在除外率が10%以下の業種については除外率制度の対象外)。
厚生労働省/障害者雇用対策
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html
8.雇用保険「教育訓練休暇給付金」の創設(令和7年10月1日から)
雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、基本手当に相当する給付として、賃金の一定割合を支給する教育訓練休暇給付金を創設されます。
9.従来の健康保険証が令和6年12月2日に廃止(令和7年12月2日から)
令和7年12月1日までに マイナ保険証か資格確認書への切り換えが必要です。
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