12月2日に従来の健康保険証が廃止されました。今後は、マイナ保険証(健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカード)の利用が原則となります。これに伴い、企業の入退社手続きにも影響が及びますので、本コラムでは実務における注意点について解説したいと思います。
会社が社会保険の資格取得手続きを行う際、入社者と被扶養者に対し、マイナ保険証を持っているかどうかを確認する必要があります。もし入社者と被扶養者がマイナ保険証をもっていない場合、資格確認書(※1)の発行依頼手続きが必要となります。「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」と「健康保険被扶養者(異動)届」に「資格確認書発行要否」欄が新たに設けられたため、発行が必要な場合、「発行が必要」というチェックボックスにチェックをつけなければなりません。ただし、電子申請の場合、システム側が新様式にまだ対応できておらず、この「資格確認書発行要否」欄がまだ設けられていないケースもあります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の会社の場合は、備考に「資格確認書要」と記載すれば申請が受け付けられますが、旧様式による届出は令和7年2月28日までで受付が終了される予定ですので、ご注意ください。健康保険組合の会社の場合は、組合ごとに対応が分かれるため、直接組合への確認が必要です。
もし入社手続きを行った際に、資格確認書要否欄への記載を忘れてしまった場合は、後日「健康保険資格確認書交付申請書」を届け出れば、資格確認書が交付されます。
(※1)資格確認書とは、マイナ保険証を保有していない方に対して交付されるもので、医療機関で提示すれば、これまでどおり保険診療を受けることが可能です。プラスチックのカードで、見た目も従来の健康保険証と似ていますが、左上に資格確認書と表記されています。
会社が社会保険の資格喪失の手続き(健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届)を行う際の注意点としては、資格確認書と従来の保険証の返却有無です。取扱いは下記の表のとおりです。(※2)
(※2)これまでに発行済みの従来の保険証については、退職等で資格を喪失しないかぎり、令和7年12月1日まで使用できます。
令和7年1月からは、従業員が離職票(雇用保険被保険者離職票)をマイナポータルで受け取れるようになります。従業員が離職した後に雇用保険の求職者給付(基本手当等)を受給するために必要となる書類で、これまでは会社経由での受け取りしかできませんでした。従業員がマイナポータルで離職票を受け取るためには、以下の要件を満たす必要がありますので、ご注意ください。
・あらかじめハローワークにマイナンバーを届け出ていること
・従業員がマイナンバーを取得し、マイナポータルの利用登録をしていること
・会社が電子申請により離職手続きを行うこと
(合田)