春になりました。
この文章を書いているのは4月の初旬なのですが、満開の桜の下、立錐の余地がないほどの賑わいで花見をしている光景が、ニュースで流れました。コロナのころが悪い夢みたいですね。ですが、私の経験上、周到に準備した花見というのはだいたいうまくいかない。マーフィーさん風に言うと、
花見の日に限って天気が悪い。花霞かと思ったらスギ花粉だった。
朝六時に起きて場所取りをして、やっと取れた場所はトイレの横だった。
以前は花見の場所取りに新入社員が狩り出されるなんてことがあったようですが、さすがに今はないでしょうし、企業で花見に行くという文化も廃れつつあるようです。
さて、新入社員が入られた会社の方もいらっしゃると思います。初々しい新人への期待は、長く勤めて、仕事を覚えて、戦力になって欲しい、だと思います。ちょっと不穏なデータを。
新規学卒者の3年以内の離職率は、高卒37%、短大41%、大卒31%となっています。期待の新人も3~4割は3年以内に辞めてしまうんですね。
企業規模では30人未満で50%、100人未満で40%、1000人以上の大企業で25%(いずれも大卒)となっています。中小企業は離職率が高く、大企業は低い。職種で見ますと宿泊、飲食サービスが50%程度と高く、生活関連サービス・娯楽が40%程度、次いで教育、小売、医療となっています。離職率が低いのは技術系、卸売り、建設などで、30%程度となっています。(新規学卒就職者の離職状況:厚生労働省)
離職してしまう理由順位は、(1)労働時間・休日、(2)賃金、(3)キャリアアップ、(4)健康を損ねて、(5)人間関係、(6)会社の将来性、と続いています。(若年層の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ:独法行政法人労働政策研究・研修機構)
離職率の高い職種は、休日が取りにくく残業が多い傾向にあるようです。労働基準法の労働時間、有給休暇取得を遵守し、労働環境を改善することが定着率を上げる基本です。
(4)の健康を損ねてですが、肉体的な健康だけではなく、近年は心理的なストレスを感じるという回答が60%程度に上るとされています。
以前のコラムでも紹介しましたが、ストレスチェックの実施と面接指導によるフォローアップが重要になってきます。
定着率の悪化は人材を失うデメリットだけではなく、既存社員のモチベーション低下、教育コストの増加、企業イメージの低下など様々なデメリットをもたらします。数年後の春に今年の新人が業務の中核を担ってくれているよう、私たちは定着率を上げるためのお手伝いができます。是非ご相談下さい。(松下)