毎年5月頃になると、労働局から会社に届く「年度更新」の封筒。マニュアルも分厚く、戸惑う方も多いのではないでしょうか。今回は、年度更新の基本と注意点を解説します。
■年度更新とは
「年度更新」は、労働保険の保険料を精算・申告する手続きです。労働保険料は、前年度の実績に基づく「確定保険料」と、今年度の見込み額「概算保険料」を合わせて申告し、納付します。

■用語の説明
労働保険:労災保険と雇用保険の二つをまとめた呼び方です。
- 労災保険:業務中や通勤途中のケガ・病気・死亡に対応
- 雇用保険:失業した際の給付や育児休業給付など
これらの保険料は、会社が賃金総額をもとに計算して納付します。
年度:労働保険の年度は4月1日から翌年の3月31日です。
賃金:原則として、経費精算など業務に必要な費用を除いた労働者に支払うすべてのものです。
■計算方法
簡単に、令和7年の年度更新は次のようなフローになります。
- 前年度(令和6年4月1日から令和7年3月31日の勤怠)の賃金総額を集計
- 上記1に労災保険料率、雇用保険料率を掛けて、「確定保険料」を計算
- 上記1に一般拠出金率を掛けて「一般拠出金」を計算
- 今年度(令和7年4月1日から令和8年3月31日の勤怠)の見込み賃金総額に労災保険料率、雇用保険料率を掛けて「概算保険料」を計算
※原則、前年度の賃金総額と今年度の見込み賃金総額は同じ額
令和7年4月から、雇用保険料率が変更となりますので、「概算保険料」を計算する際は、ご注意ください。
- 上記を申告書に記載し、提出・納付
■実務ポイント
- 電子申請がおすすめです。
- 申請期限は6月1日から7月10日です。
- 納付は口座振替がおすすめです。納め忘れ防止&手間も軽減されます。
- 概算保険料総額が40万円以上なら、分割納付も可能です。
■まとめ
年度更新は、会社にとって必ずやらなければならない手続きです。「難しそう…」「時間がない…」と感じる方は、社労士などの専門家に相談しながら対応することをおすすめします。東京都杉並区荻窪をオフィスとするバラスト社会保険労務士法人は、総勢10名以上が在籍するチームワークの良い事務所です。ぜひ1度お気軽にご相談ください。(松下)