はじめに

初めまして。昨年の10月から荻窪にございますバラスト社会保険労務士法人でお仕事をさせていただいております髙山と申します。今後もシリーズでコラムを執筆させていただきますので、お読みいただけますと大変うれしく思います。今回はその第1回でございます。

話は替わりますが、夜、ぼーっと家の窓から電車を見ておりましたら、終電間際でも帰宅途中と思しき乗客が多いのだということに気がつきました。終電間際で電車に乗る理由は人それぞれかと思いますが、私は残業で帰りが遅くなっているのではないかと考えました。

さて、さまざまな業界、職種で人手不足が叫ばれるようになって久しいと思いますが、当コラムをご覧いただいている皆様はいかがお感じでしょうか。おそらく、「人手は足りている」、「十分だ」とお感じの方が少ないのが実情ではないでしょうか。
今回は人手不足について、私なりに考えましたことを述べてみたいと思います。

少子高齢化の現状と今後の予測

下図に示しましたとおり、少子高齢化の進行により※生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少しており、2024年は7,457万人に減少しています。
また、将来的に2050年には5,275万人にまで減少すると見込まれています。

生産年齢人口のグラフ

(出典:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd121110.html

※生産年齢人口とは
生産活動を支える15〜64歳の人口のことです。また、生産年齢人口に対し、14歳以下を年少人口、65歳以上を老年人口と呼ぶこともあります。

生産年齢人口だけで単純計算すると、2050年には2024年比で約70%になることを意味しています。
また、高齢化率についても、1995年の14.6%から上昇を続け、2024年は29.3%、将来的に2050年は37.7%まで増加すると予測されています。
このことからも、今後はより一層の人手不足となる可能性が高くなることがお分かりいただけたかと思います。

人手不足解消の手立て

今後はより一層の少子高齢化が進み、人手不足が深刻化するであろうことは既に述べたとおりでございますが、では、その解消の手立てにどのようなものがあるでしょうか。以下、何点か述べてみたいと思います。

〈働く期間の延長〉

当然、新規に採用できる人口が減る以上、現在働いている方に働き続けてもらうことは有効な手立てだと思います。

法律面でも65歳までの雇用確保の経過措置(高年齢者雇用安定法第9条)が2025年3月31日で終わりを迎え、2025年4月1日以降65歳までの継続雇用が義務化されます(65歳から70歳までの雇用は努力義務となっています)。このように、国のほうでも働ける方には働き続けてもらおうという姿勢を打ち出しています。

最近は65歳以上の方でも働けるうちは働き続けたいという気持ちをお持ちの方が多いと聞きますので、こういった方々に働き続けてもらえるような職場づくりをすることは有効な手立てだと考えます。65歳超雇用推進助成金といったものもありますので、65歳以上への定年引上げ、高年齢者向けに在宅勤務制度や希望に応じた短時間勤務制度の導入等を検討してみることが大切だと思います。

〈離職の防止〉

長く働いてもらうためには離職を防止することが重要だと考えます。中でも、今後は少子高齢化の進行によりご高齢のご家族を介護する状況も増えていくかと思います。

皆様も既にお聞き及びのことと思いますが、介護によって働くことが難しくなった人を支える制度に育児・介護休業制度があります。昨年改正があり、介護による離職を防止するため、個別の周知・意向確認、研修の実施・相談窓口の設置などといった雇用環境整備が新たに義務化されました(R7年4/1から施行)。このような法改正も踏まえ、今後会社では制度の運用をしっかり行っていくことが大切です。

〈多様な人財の活用〉

少子高齢化が進行して働き手が不足し、パイの奪い合いのような状況になってしまうと思います。よって、優秀な人材を確保できるように、勤務地限定社員・短時間正社員、週休3日制、同一労働同一賃金の実現といったような取組を実施し、働きやすさのアピールを行うことが重要になるでしょう。

また、障害のある方など多様な背景をお持ちの方々の社会進出も進んできており、パラリンピックなどの大舞台でもめざましいご活躍をされていることは皆様もご存じのことと思います。障害者雇用に向け、事業場の働きやすい環境を整備したことで、バリアフリー等が進み、従来からいらっしゃる労働者にとってもさらに働きやすい環境になり、さらに企業イメージもアップしたという事例もあります。障害者を雇い入れた場合などの助成金もありますので、これまで障害者を雇用したことがないような会社も将来を見据えて、一度障害のある方の雇用を検討してみてもよいのではないでしょうか。

なお、一定規模の企業に対しては障害のある方を一定人数雇用することを定めている法律がございます(障害者雇用促進法43条)。法定雇用率を達成できていない会社は、まず達成できるようにしましょう。こちらは法定雇用率を達成できなかった場合に一定額の納付金が徴収されるものでもあります。トライアル雇用という制度を活用すれば労使双方のミスマッチを防ぐ効果も期待できますので、検討の価値はあるかと思います。

おわりに

ここまで思いつくままに述べてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。最近はやりのChatGPTではなかなか返ってこないものを中心に考えてみました。
育児・介護休業制度など、耳にしたことがあるものもあったかと思いますが、その中身は非常に複雑なものです。法改正も頻繁にございます。
また、そういったイベントがあった際には付随して他の手続きが必要になることも多いです。実際の活用に当たっては法律の専門家に手続きやアドバイスをお願いすることを強くお勧めいたします。
今後は当コラムでより詳しい内容で人手不足とその対策について書いていきたいと思います。

何かお困りごとや気になることがございましたらぜひ弊社までお気軽にお問い合わせいただければうれしく思います。
皆様とお話ができることを楽しみにしておりますと申し上げ、今回のコラムはここまでとさせていただきます。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。

ご相談は杉並区荻窪にありますバラスト社会保険労務士法人へ  お問い合わせ先

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