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【2025年最新】カスタマーハラスメント対策が義務化~都の奨励金を活用して社内整備を進めましょう~

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 2025年6月、「労働施策総合推進法」の改正法が成立し、企業に求められるハラスメント対策が一層強化されました。これまでのパワハラ・セクハラ・マタハラ対策に加え、新たに「カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)」への対応が企業の法的責務として位置づけられたほか、求職者やインターンに対するセクハラ防止措置も新たに義務化されました。本コラムでは、こうした法改正の背景をふまえ、企業実務に影響の大きいカスハラ対策を中心に、現時点で求められている基本的な対応や、東京都の独自条例・支援制度の概要をご紹介します。

1.はじめに|カスタマーハラスメント対策が企業の義務に

 2025年6月4日、労働施策総合推進法の一部を改正する法律が可決・成立し、企業の雇用管理上の責務が拡充されました。主な改正点は以下の通りです。

・ハラスメント対策の強化
・女性活躍推進の義務の拡充
・治療と仕事の両立支援の推進

 なかでも実務上のインパクトが大きいのが、「カスタマーハラスメント」対策の義務化です。これまで指針レベルにとどまっていた企業の対応が、法的に明確な義務となり、今後すべての企業が体制整備に向けた具体的な対応を求められます。

 ▼💡 本記事では東京都の制度を中心に解説していますが、2025年6月に公布された法改正全体の概要や背景については、以下の記事で整理しています。企業の全体的な対応方針を検討する際の参考にご覧ください。▼


2.法改正のポイント(抜粋)

 以下は、2025年改正法のうち、特に企業の現場に関係の深い内容です。

 2025年6月に可決・成立した改正法では、ハラスメント対策に加え、女性活躍推進や治療と仕事の両立支援など、複数の分野で企業の責務が拡充されました。本項では、その中でも企業実務に特に関係の深い主なポイントを一部抜粋してご紹介します。

1. ハラスメント対策の強化
・カスタマーハラスメント防止のため、事業主に雇用管理上必要な措置の義務化
・求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止のため、事業主に雇用管理上必要な措置の義務化

2. 女性活躍推進の推進
・常時101人以上の企業に対し、男女の賃金格差や女性管理職比率の公表を義務化。
・女性活躍推進法の延長(令和18年3月まで)と、女性の健康特性への配慮も明文化。

3. 治療と仕事の両立支援の推進
・事業主に対し、職場における治療と就業の両立促進のための必要な措置の実施が努力義務化。

参考資料:厚生労働省「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律の概要(令和7年法律第63号、令和7年6月11日公布)」


3.なぜ今「カスハラ」対策なのか

 カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先による暴言や不当な要求など、従業員に著しい負担を与える迷惑行為です。以前から問題視されてきましたが、2025年の法改正により、企業にカスハラ防止のための対応が新たに義務づけられました。
 ただし、現時点では国の具体的なガイドラインはまだ示されておらず、企業は今後の指針を待ちながら自主的な対応を求められています。現段階で厚生労働省から示されている主な対策は、以下の通りです。

【企業が求められる対策の概要】
・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・相談体制の整備・周知
・発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置

従業員を守るためにも、早めの体制整備が求められます。

▼企業の対応を可視化した「対応フロー図」をご紹介します
「具体的に何から始めればいいのか分からない」「現場の負担を減らしたい」という声を多くいただいています。
以下に、現場対応編と社内体制編の2つのフロー図を掲載しています。

カスハラ対応フロー図
  • 現場対応編では、実際にカスハラが発生した際の対応の流れを整理
  • 社内体制編では、相談体制や再発防止策など、企業全体で整えるべきポイントを図解

自社の体制整備の第一歩として、ぜひご参考にしてください。

※本フロー図は一般公開用に簡略化したものです。自社に合わせたカスタマイズをご希望の方は、こちらからお問い合わせください。

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4.東京都の独自対応と企業支援(2025年4月施行)

 東京都では、国の法改正に先駆けて「カスタマーハラスメント防止条例」を施行(2025年4月1日)。都内の事業者に対して、以下のような対策を努力義務として定めています。

【企業が講ずべきカスハラ対策(要点のみ抜粋)】
・カスハラ対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
・カスハラを行ってはならない旨の方針の明確化と周知
・相談窓口の設置
・適切な相談対応の実施
・相談者のプライバシー保護に必要な措置を講じて就業者に周知
・相談を理由とした不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め周知
・現場での初期対応の方法や手順の作成

※これらはあくまで都条例に基づく努力義務であり、今後国から正式なガイドラインが示される予定です。


5.東京都の奨励金・支援制度(2025年度)

カスハラ対策を進める企業・団体を対象に、東京都は以下の支援策を用意しています。

・企業向け奨励金:定額40万円
 マニュアル整備、録音設備やAIシステムの導入など実践的な対策を行った企業が対象。
 ※2025年6月より募集開始予定

・団体向け奨励金:最大100万円
 会員企業向けにカスハラ防止体制を整備した業界団体等に支給。

・団体向け補助金:補助率1/2、補助上限5,000万円
 都と連携して条例普及・カスハラ対策に取り組む団体を支援。

・専門相談窓口の設置
 2025年4月から電話相談を開始、6月以降は専門相談員の配置。

参考資料:東京都TOKYOはたらくねっと「カスタマーハラスメント防止対策」


5.まとめ

 カスタマーハラスメント対策は、従業員の安全と尊厳を守るための基本的な取組です。未対応のまま放置すれば、職場の秩序や人材定着、企業イメージに深刻な影響を及ぼす恐れがあります。特に東京都内の企業は、都の奨励金制度や支援策を活用し、早期に社内体制を整備することが効果的です。

 「何から始めればいいかわからない」「自社の対応が義務に適合しているか不安」とお感じの場合は、バラスト社会保険労務士法人までお気軽にご相談ください。制度設計から実行支援まで、実務に即したサポートをご提供いたします。


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合田 真梨菜

執筆

合田 真梨菜

高崎経済大学地域政策研究科前期博士課程を修了。企業と労働者の双方の視点から働くことに関わる仕事を志す。日本語教師として外国人労働者・留学生の支援を行う中で、必要なのは言葉だけでないと痛感し、2021年にバラスト社会保険労務士法人(旧:恵社労士事務所)に入社。現在は、企業のパートナーとして、日常的な労務相談に加え、法改正等の情報発信を通じて、誠実かつ実直な姿勢でサポートしている。

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