労務管理は会社運営の土台です。従業員が安心して働ける環境づくりは、生産性や人材定着にもつながります。とはいえ、人事担当者が他の業務を兼ねる会社では、日々の業務に追われ、つい後回しになりがちかも知れません。今回は、労務管理の基本と重要性を具体例も交えご紹介します。自社を振り返る際の参考になれば幸いです。

労務管理が大切な理由

日頃から「労務管理は大切」と思いつつも、手間のかかるイメージもどこかにあり、後手も回るケースもあるのではないでしょうか。しかし、労務管理を不十分だと、従業員との間に思わぬトラブルが起きることも考えられます。例えば、こんなリスクがあるかも知れません。

  • 雇用契約の労働条件があいまいで、従業員との認識にズレが生じる

労働条件があいまいなまま雇い入れると、後になって「言った・言わない」のトラブルになることも。たとえば、就業時間や休日に関する認識の違いにより不信感が生じたり、パートなど有期雇用の方との契約期間や更新基準があいまいな場合、従業員の期待に反して雇用が終了し、万が一の場合不服申し立てに発展するケースもあり得ます。

  • 労働時間の管理が甘く、残業代未払い問題が発生する

出退勤の記録が適切でない場合、特に注意が必要なのは「残業代未払い」の問題です。たとえば、タイムカードがなく自己申告で管理していたが、実際に残業した分の時間外手当が支払われなかったことから、後になって外部機関に相談される…という事態も起こり得ます。

  • 就業規則が整備されておらず、トラブル対応が後手に回る

万が一、従業員との間でトラブルが発生した際、就業規則に処分の種類や理由が明記されていないと、客観的な基準に基づいた判断が難しくなります。そして、対応に多くに労力を要したり、さらに悪い場合、会社運営にも影響が出ることがあります。リスク管理の観点でも、就業規則の整備は大切です。

また、雇用保険を含む社会保険の手続き漏れにも注意が必要です。加入要件を満たす従業員を雇い入れる際は、忘れずに手続きしてくださいね。


労務管理の基本ポイント

(1)雇用契約の明確化 

雇用契約書は、労働条件を明確にする大切な書類です。業務内容や勤務時間、給与、休日などをしっかり記載し、双方が納得の上で締結しましょう。たとえば「いつから」「どこで」「どのような内容の仕事を」「どのくらいの時間」「いくらで」行うのか、など基本的な労働条件を文書で確認することが重要です。なお、労働関連法令では、雇用時に賃金・労働時間・契約期間などを、労働条件通知書などの書面で明示することが義務付けられています。

参考サイト:採用時に明示すべき労働条件

(2)労働時間の適正な管理 

労働時間の適正な管理は、従業員の健康にも関わる大切なポイントです。クラウドの勤怠管理システムの導入や、紙のタイムカードやエクセルなど、形式は問いませんので、毎日の出退勤記録と確認を習慣づけましょう。残業や休日出勤の状況を定期的にチェックすることも大切です。「毎日30分の残業が当たり前になっていないか?」など、勤務状況を確認し、必要に応じて見直してみませんか?

参考サイト:労働時間の適正な把握のためのガイドライン

(3)社会保険・労働保険の適用 

社会保険(健康保険・厚生年金)や雇用保険は、要件を満たす従業員については必ず加入する必要があります。適切に手続きによって、従業員が安心して働ける環境を整えましょう。

参考サイト:適用事業所と被保険者|日本年金機構

まとめ

労務管理をきちんと行うことは、会社にとって多くのメリットがあります。安心して働ける環境は、従業員のモチベーションアップにつながりますし、法令を守ることで罰則やトラブルのリスク回避にもなります。労働条件が明確な企業は、求職者から信頼を得やすくなり、採用や定着率にも効果があります。基本的なポイントを押さえて、業務が忙しいからこそ丁寧に実施することが、良い職場づくりの第一歩ではないでしょうか。「うちの労務管理、ちょっと心配だな…」と感じたら、社労士など専門家に相談するのも一つの方法です。

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