リスキリングとは?
リスキリング(Reskilling)は、これまでの仕事で培ったスキルに加え、新しい分野で必要とされる知識や技能を習得することです。IT技術の発展や環境問題への対応が求められる現代では、時代の変化に合わせたスキルアップが重要です。企業が成長を続けるためにも、従業員の新たなスキル習得は欠かせません。
「事業展開等リスキリング支援コース」とは?
この支援コースは、企業が新しい事業を始めたり、デジタル化・グリーン化のための取り組みを行う際に、従業員が新しい分野に必要なスキルを学ぶための訓練を行う場合、その訓練費用や賃金の一部を助成する制度です。例えば、新しい製品やサービスの開発を行うときや、社内のシステムをデジタル化する際に、社員がそのための技術を身につけられるよう支援します。
≪助成の対象と条件≫
助成の対象となるにはいくつかの条件があります。以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 訓練内容
企業が新しい分野に挑戦する際に必要な知識やスキルを教える訓練が対象です。具体的には、新規事業の立ち上げや、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーン化への対応が該当します。
2. 訓練形式
対面でのOFF-JT(On-the-Job Training)だけでなく、eラーニングや通信制の訓練も対象です。ただし、通信教育の場合、10時間以上の学習が必要です。
3. 助成対象の労働者
助成金を受けるためには、訓練を受ける従業員が雇用保険の被保険者である必要があります。
4. 訓練の事前申請
訓練計画書を訓練開始日の1か月前までに労働局に提出する必要があります。
5. 訓練終了後の賃金助成
訓練終了後には、訓練に要した費用や訓練期間中に支払った賃金の一部が助成対象となります。
≪リスキリングの具体例≫
リスキリング支援コースの助成金が実際に利用できる場面について、具体例を挙げて説明します。
●飲食業のテイクアウト事業
もともと飲食店を経営していた企業が新たにテイクアウトやお弁当の製造販売を始める場合、オンライン予約システムの構築やアプリ開発に関する訓練が対象となります。これは、従業員が新たな事業を支えるためのスキルを身につける必要があるからです。
●医療機関でのデジタル化
医療機関がオンライン診療やAIを活用した診療システムを導入する際、医療従事者がDX訓練を受けることも支援対象となります。DXとは、業務の効率化や新たなサービスの提供を可能にするためのデジタル技術の導入です。例えば、電子カルテの導入や診察の自動化、問診表の電子化などが挙げられます。
●建設業のドローン活用
建設業においてドローンやBIM(Building Information Modeling)技術を使った新しい測量方法が必要となった場合、従業員がこれらの操作方法を学ぶ訓練も助成の対象です。これにより、効率的な作業が可能となり、従業員も新しい技能を身につけることができます。
●製造業のグリーン化
製造業でカーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを行う場合、新しい製造プロセスや省エネ技術についての訓練が対象となります。例えば、電気炉を導入することにより、二酸化炭素の排出を削減するための知識を習得する訓練などが該当します。
≪助成金の申請手順≫
助成金を受けるためには、以下の手順を踏む必要があります。
1. 計画の提出
訓練を開始する1か月前までに、訓練計画書を労働局に提出します。この計画書には、どのような訓練を行うのか、対象となる従業員、訓練の期間や目的などを記載します。
2. 訓練の実施等
訓練を計画に沿って実施します。※訓練に係る費用は支給申請までに支払い終えている必要があります。
3. 助成金の支給申請
訓練終了日の翌日から起算して2か月以内に助成金の支給申請を行います。助成金の支給対象額や賃金助成額は、訓練内容や従業員の雇用形態によって異なります。
まとめ
リスキリング支援コースは、企業が新しい事業分野に進出したり、DXやグリーン化を進めたりする際に、必要なスキルを従業員に習得させるための大きなサポートとなります。この制度を活用することで、企業は競争力を高め、従業員もキャリアの幅を広げられるメリットがあります。
時代の変化に対応し、未来を見据えたスキルを習得するためのこの制度を、積極的に活用しましょう。