📻 このブログは、podcast「人事・労務の豆知識」をもとに作成しています。 内容や正確性については配信当時に注意を払い作成をしておりますが、当社が責任を負うものではありません。 生成AIで文章の修正を行っております。ぜひ、音声配信もお楽しみください。
📻 さて、今週はいつもと少し違って、新人研修の話をしようと思います。正確には、若者との接し方についてです。
きっかけは、パワハラ研修を作っていた際に、どうやってパワハラをしないようにするかという点を考えていました。その結果、今の若者がどういった人々なのか、それを上司に実感してもらうようなテーマで研修を作ることにしました。
そのために、今の若者の実態についていろいろ調べてみました。データをもとに、今の若者について探っていくと、非常に興味深い事実が見えてきました。私たち40代とは、育ってきた環境や現在の生活環境が全く違うので、どういう気持ちで20代を過ごしているのかを考えながら読みました。
それで、私たちから見たら、おかしく思えるようなことでも、その環境で育ち、そのような教育を受けてきたとすれば、理解できる点もあると気づきました。その点が非常に興味深かったので、少しご紹介したいと思います。
参考にしたのは、リクルート研究所の新卒アンケートや、若者について書かれた本です。「先生、どうかみんなの前で褒めないでくださいーいい子症候群の子供たち」という本もありました。これは大学生を対象としたもので、現代の大学生がどういった人物なのかを紹介しているビジネス書のような内容です。
この本は本当に素晴らしいと思います。新卒担当の方々には是非読んでいただきたい一冊です。内容が実体験に基づいていて、非常に面白かったです。著者は大学の先生で、専門分野はモチベーションです。その先生が、今の大学生にいろいろと質問をしているり、また、自分が接している状況でどう感じるかといった点も掲載されています。
この本は、ただの学生寄りの視点ではなく、接する大人たちの視点から考察しています。非常に読みやすく、興味深い内容なので、ぜひ読んでみてください。
ただ、この本は大学生を対象としているため、新卒採用活動には適用できると思いますが、入社して数年経った後で状況が変わる可能性もあると思います。
今の若者は・・・
今の大学生がどういった人物なのかと言えば、最も注目されるポイントは「自信がない」「自己肯定感が低い」ということです。これを聞くと、私たちの世代からすれば少々暗いイメージが浮かびますよね。私もそう感じます。しかし、実際はそうではありません。これと自己肯定感が低いというのは、ちょっと違います。彼らは周囲の人々と仲良くなろうと一生懸命努力しているのです。その結果、彼らは決して暗くなく、むしろ穏やかで優しく、明るい人々なのです。
その上で、自分に自信がないと思っている学生が多いので、その点をサポートする必要があると考えます。著者は、学生たちに10段階で自己評価をしてもらうテストを実施しており、その結果も興味深いです。聞かれた項目は学力、体力、優しさ・思いやり、忍耐力、持続力、積極性、自立性、コミュニケーション力、自己肯定感などですが、学力は平均3.8と低い。この数値を見ると、低偏差値の大学の先生なのでは、と思いがちですが、実際はそうではないとのこと。
忍耐力や持続力は平均以上で、コミュニケーション力は平均より少し低い程度です。しかし、最も高いのは優しさ・思いやりで、10段階で7.2とかなり高いです。それなのに自己肯定感は3.1と低く、これが一つの矛盾点とも言えるでしょう。つまり、自分は優しくて思いやりがあるいい人だと思っているのに、それにも関わらず自信がないと感じているわけです。
どうしてこういう結果が出るのかと考えてみると、いろいろなサイトにさまざまな情報が書かれていますが、その中で「最近の若者は自信がない」という話がよく出てきます。特に、SNSが子供の頃から存在しているという点が、私にはなるほどと思わせるものがあります。 それはなぜかと言うと、SNSやインターネットがあるおかげで、全世界の人々と繋がれるわけです。昔は、自分と比較する仲間は30人程度しかいなかった。同じクラスの30人、さらに広く見ても同じ学校の100人程度だったわけです。私の時代もそんな感じでした。 何か得意なことがあり、そのことに一生懸命取り組むと、大会でさらに強い人たちに出会い、自分の力の及ばなさを知るような経験がありました。そうした中で、得意なことで自信を持って挑戦してからの挫折というストーリーがあったわけです。 しかし、今はそれがない。なぜなら、我々が何か得意だと思っても、もっと得意な人が世界中にたくさんいるというのが、SNSで瞬時にわかるからです。 これは発達や成長において非常に大きな影響を持つと思います。 例えば、クラスでゲームが上手な子がいたとします。でも、その上手さは30人中での話であり、世界にはさらに上手な人がたくさんいます。しかしその子は、自分はこのクラスで一番ゲームが上手いという自己肯定感をしっかり持てます。 しかし、今の状況では、インターネットの世界で年齢や背景に関係なく、自分の力を試せるわけです。少し自分が上手いと思った瞬間、さらに上手な人に打ち負かされる。これでは自己肯定感は育ちません。
そのような事態が積み重なる結果、今の人々は何に対しても自信を持てなくなり、得意なことでさえ自信が持てない状況に陥っている、というのが私にとって非常に納得できる話です。 もちろん、他にも多くの要因があるでしょう。 物の豊かさが増えたことで、自分が一生懸命働かなくても生活が維持できる環境が整っていたり、親の格差が自分の生活に影響を与えるといった事情もあります。そういった背景があって、最初から「自分で頑張っても仕方がない」という雰囲気が漂っているとも言えます。 私は、SNSが最初から存在している環境で自己肯定感が育たないという点に、特に納得しています。
どうやって企業は、教育するか
そのため、今の若者は自信がないのです。 それでも、自信がないとはいえ、そうした人々を育成しなければ、企業は戦力として活用できません。 新入社員に指導を行っても、「今の若者は何を考えているのかわからない、何を言っても響かない」という意見が出ることがあります。 「やる気がない」と言って厳しく指導をすると、すぐに辞めてしまいます。 今の若者に耐性がないと批判するのも簡単ですが、それでは解決にはなりません。 厳しく指摘されたところで、「やはり私はダメだ」と感じてしまうだけです。奮起して頑張れる自信が持てないのが現実なのです。
だから、自己肯定感が低い人も育てられるようにしなければなりません。自己肯定感が低いのはもう仕方がないのですから。 かつては「自分にしかできない仕事をしたい、そのようになるために努力しよう」と初めから考えていた人が多かったかもしれません。しかし今は、「私にしかできない仕事がしたいけれど、それは無理だろう」と考えている人が多いです。そういう気持ちを払拭するのが、上司の仕事であると私は考えています。
リクルートのアンケートによると、今、親や先輩など上位の立場の人から厳しく指導されたり、叱られた経験があると答えた人は50%を割っています。つまり、半分以下の人があまり厳しく叱られた経験がないと感じているわけです。 今の若者がそれなりに厳しく指導されると、以前よりも深くショックを受ける傾向があると感じる人は多いでしょう。
だから、今の若者を育てる立場にいる人たちは、まず「この人たちは自分ができると思っていない」という前提からスタートする必要があります。 「あなたでもできるよ」と始めて、「あなたはそれができる」「あなたは意外とよくできる」「あなたにしかできない」と段階を踏んで、自己肯定感や付加価値に気づかせることが重要だと私は思います。