229.夏季休暇について

229.夏季休暇について -人事・労務の豆知識 Podcast

今週は夏季休暇中の方も多いのではないでしょうか!!??
「夏季休暇」は、休日?休暇?年次有給休暇を利用?
色々なパターンについてお話ししてみました。

夏休みの有無について

皆さまは夏休みを満喫されているような時期でしょうか?ということで、今週は夏休みについてお話をいたします。
夏休みが当然あるような会社さんへ最初にお勤めになった場合、もし転職されて夏休みがないとなると「ブラック企業じゃない?」となってしまう方もいらっしゃるのではないかなと思います。
弊社の顧問先さんに「夏休みはいつですか?」とお聞きすると、その時の会話で「御社はどうですか?」と聞き返されることがあります。
そのときに私が「弊社は夏休みが特にありません」と言うと、「えっ、無いのですか」という会話になることが毎年あったりします。
このように夏休みについて、有る会社の方は当然有るものだと思っていらっしゃるし、無い会社の方は当然無いと思っていらっしゃいますよね。
私は初めて入った会社では夏休みがなかったので、夏休みというものは大人になったら無いのだなと思っているのですが、その感覚は人によると思います。
社労士になって、労務管理のことなどいろいろとわかってから見ると、この夏休みというものが設定によっていろいろなやり方があるということがわかりますね。
いま夏休みが無くて導入しようかと思っている会社さんは「でも、やはりお休みが多くなってしまう」など考えることもあると思いますが、会社さんにとって有利な夏休みの制度設計というのもありますので、一度導入を検討してみてもよいのではないでしょうか。
ただし、今まで夏休みの制度があった場合に「そういうやり方がある」と、従来あった制度を従業員さんにとって不利益に変えることはできませんので、そちらに関しては自分の会社は良い会社だととらえるのがよいのではないかと思います。

「夏季休暇」は、「休日」?「休暇」?

夏休みの制度は会社さんによって違いますよね。
夏休み=「夏季休暇」と名称がついていることが多いですが、名称としては「休暇」であっても「休日」として設定されている場合があります。
このように夏休みを「休日」にするか「休暇」にするかは、会社さん次第なのですね。

就業規則には、「休日」と「休暇」という項目があり、例えば「休日」については就業規則に会社の休日はこれとする、というように所定・法定休日などが列挙してあるはずです。
ちなみに弊社の場合「休日」は、土日祝日・年末年始と書いてあります。
会社さんの就業規則で「休日」のところに、土日祝日・年末年始・夏季休暇と書いてある場合、この夏季休暇は「休日」扱いです。
「休日」のところではなく、「休暇」のところに夏季休暇の記載がある場合には、「休暇」になります。

Podcastでは前にもお話ししておりますが、「休日」と「休暇」は別物になります。

「休日」とは?→労働義務がない日
「休暇」とは?→労働義務があるが、免除された日

こちらは時給の場合には働いた分だけお給料が出るのであまりピンとこないかもしれません。
しかし月給の場合だと、「休日」と「休暇」でお給料に違いが出てきます。
まず月給の金額に「休日」分の金額は含まれていないことになります。
そのため、例えば「休日」とされている土日祝日に出勤した場合は、休日出勤としてその分のお給料が追加で出ますよね。
つまり月給の方の場合だと、「休日」とされた土日祝日の分はお給料にもともと入っていない契約だということです。
それに対して「休暇」とされた日は、お給料に入っているけれども労働義務を免除されたため、欠勤とはならない、お給料を差し引かれない契約ということになります。

夏休みの「休日」「休暇」-給与計算への影響について

「休日」と「休暇」について夏休みをどちらに設定するのかは、会社さんの決定次第ということをお話ししましたが、どちらに決めたかで給与計算にも影響が出てきます。
夏休みを「休日」として設定した場合は、年間休日が増えることになります。
「休日」を土日祝日のみとした場合、年間休日は120日くらいです。
これに夏期と年末年始のお休みを「休日」としてプラスした場合には年間休日が125~130日くらいに増えますが、「休暇」ならば年間休日は120日くらいのままですよね。
この「休日」日数の差が、給与計算に大きく影響してくるところになります。

給与計算の残業手当などで使う時給単価の正式な計算方法は、歴日数からその年の休日数を引いて、年間の所定労働日数を計算します。
この年間の所定労働日数をもとに、12で割って月の所定労働日数にして、そこからさらに所定の数で割り算をして日給→時給という流れで計算をしていくことになります。
つまり年間休日が多ければ多いほど、時給単価が高くなるということです。
そうすると残業代のもとになる単価に差が出てきて、これが仮に1時間10円ほどの差であっても、積み上がると結構なものになってきます。
会社さんを有利にと考えると、夏休みは就業規則上「休暇」にしておいたほうがよいというようなことになりますし、そういったことが多いような気がいたしますね。

夏休みと年次有給休暇

夏休みを「休暇」にする場合は、無給と有給の2パターンありますが、会社さんからの一方的なお休みに対して無給にするのはあまりよろしくないですよね。
そのため夏休みを「休暇」にする場合には、有給休暇になるということは当たり前だと思います。
その上で夏休みが有給になるにしても、特別休暇にするか、それとも年次有給休暇にするかという、これも2パターンに分けられます。
昔からある会社さんは大体が特別休暇にされているところが多いのではないかと思われます。
ひとつ目は夏休みを特別休暇にした場合に有給なので控除はしないけれども、先ほどご説明した給与計算時の「休日」には入れないとしているパターンですね。
ふたつ目は夏休みを年次有給休暇の計画的付与として取得していただくパターンになります。
こちらの計画的付与の制度は、法改正で年次有給休暇を年5日取得させる義務ができたときに注目されましたが、もっと前からある制度でした。
年次有給休暇を計画的付与として、夏休みにあてるという方法になります。

年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説 P4より引用-厚生労働省HP
年次有給休暇の計画的付与制度-厚生労働省HP

こういった夏休みを年次有給休暇として取得させることは、一方的にではなく労使協定を結んでしっかりと計画的に付与するのであれば法律上できるということになります。
いままで夏休みがなかった会社さんが、例えば全社で夏休みとして3日間を年次有給休暇の計画的付与、残り2日はどこかで取得してもらうというようなところが増えたのかなと思いますね。
こちらを導入した際の注意点としては、入社直後の新入社員さんなどでまだ年次有給休暇の付与をされていない方についての取り扱いを決めておくことです。
年次有給休暇の付与がされていない新入社員さんに計画的付与をしないのは、いけないことではありませんが、会社全体として夏休みになっている中で、新入社員さんたちだけが出勤するというのはちょっとおかしな話になりますよね。
この場合は新入社員さんを特別休暇にしてお休みしてもらう形にしていることが多いです。

そしてこの年次有給休暇を使った夏季や年末年始のお休みは、計画的付与の導入例として厚生労働省のHPでも紹介されています。

年次有給休暇の計画的付与制度-厚生労働省HP

ただし、こちらについて重要なことを冒頭でもお話ししましたが、既に夏休みを特別休暇として設けている会社さんが「年次有給休暇を夏休みで計画的付与ができる、ちょっといいことを聞いたから、これに切り替えよう」という不利益変更をするのはダメいうことになっています。
そのためまだ社内制度として特別休暇などの夏休みがなくて、これから夏休みを「休暇」として設定するような場合に、こういう方法があると認識されるのがよいのかなと思います。
あと最近は年間休日を見ている求職者の方が多いということを、結構あちらこちらで聞きます。
このように夏休みを「休暇」にすると、年間休日が減ってしまい、採用での競争力が少し落ちるかもしれないですね。
そのような場合でも夏休みがあるということには変わりありませんので、そういうふうにアピールすることはできるかなと思います。

今週のPodcastでは
お盆の時期ということで、夏休みのお話でした。
皆さまの会社の夏季休暇はどのような感じになっているでしょうか?
弊社は「休日」「休暇」とかの設定も含めた就業規則の作成も得意ですので、ぜひお問い合わせください。

229.夏季休暇について-人事・労務の豆知識 Podcast

今週はここまでになります。

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