216.職場のセクハラについて
今週は、セクシャルハラスメントについてお話いたしました!!
職場のセクハラの定義、会社がやるべきこと、そして「性的な言動」とはなになのか・・・・・
たとえば肩をたたいただけでも、された側がいやだったらセクハラなのか!?
そんなことをお話いたしました。
職場のセクシャルハラスメントは2種類
今週はセクシャルハラスメントについてお話をしたいと思います。
職場におけるセクシャルハラスメント=セクハラを防止することは事業主さんの義務になっております。
まず厚生労働省のHPで示しているセクシャルハラスメントの定義は下記になります。
労働局に雇用均等室というところがありまして、そちらにセクハラのご相談がかなり多く寄せられているそうです。
そのため「うちの会社はセクハラなんてないでしょう」ということであっても、しっかりと対策をしておかなければいけないということになります。
セクハラとして扱われる「性的な言動」は、同性間に対して行われる場合も含みます。
職場におけるセクハラは「対価型」と「環境型」という、2つの種類に分けられます。
「対価型」のセクシャルハラスメントについて
「環境型」のセクシャルハラスメントについて
「事業主が雇用管理上講ずべき措置」とは?
セクハラについて事業主さんに求められていることというのは、ちょっと誤解があります。
事業主さんが「してはいけないこと」というのではなくて、「職場」で「させてはいけないこと」なのですね。
「職場」でセクハラ防止の啓発をする・適切な対応をする、ということが事業主さんの義務になります。
厚生労働大臣の指針により、職場のセクハラ防止のための「事業主が雇用管理上講ずべき措置」というものが定められております。
こちらは大項目4つのなかに10項目のポイントがあります。
事業主さんはこれら10項目を必ず実施しなければなりません。
これらの項目を一部見てまいります。
はじめに 1-(1)(2) ですね。
こちらは事業主さんとして職場におけるセクハラというのはこういうことで、社内であってはなりませんと周知・啓発します。
「性的な言動」というものについて、それには当たらないと思って発言していることは結構あると思います。
そのため、「こういう言動もだめですよ。」ということはしっかりと周知しておく必要があります。
性別役割分担意識に基づく言動の例として以下の発言が当てはまります。
「男のくせに根性がない」(※1)
「女には仕事を任せられない」(※2)
あとは、「女は地図が読めない」とか「男は気が利かない」などもありますよね。
ご自身の中でこれらの思想や概念があったとしても、言動として発することはいけないということになります。
それと「酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌等を強要する」(※3)こともセクハラに該当します。
どのようなことがセクハラにあたるのかということ、そしてセクハラをした場合には就業規則に則って懲戒するということ、これらをしっかりと周知することが必要です。
就業規則の服務規律や懲戒の項目にセクハラが対象とされているか、ご確認くださいね。
(※1~※3は、『事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策は あなたの義務です!!』より引用―厚生労働省HP)
次に2-(3)(4)ですね、事業主さんは相談窓口を設置して、運営するということが求められています。
こちらの相談窓口は、社内のどの部署に作ってもよいですし、外部の弁護士事務所さんなどに頼んでいるケースもあるみたいですね。
このように相談窓口を設置して、寄せられたご相談については真摯に対応するということが必要です。
そして3-(5)~(8)ですね、ご相談があった場合には迅速かつ適切な対応というところが求められています。
事実関係を確認して、どのような解決をするのかをケースバイケースで考えて対応するということですね。
相談対応において重要なことは、以下の通りになります。
・迅速に動くこと
・被害者と行為者共に、プライバシーを必ず守ること (4-(9)にあたります)
・当事者の言い分をしっかりと聞くこと
これらをしっかりと守って調査等を進めることです。
セクハラの相談窓口にご相談が寄せられたというお話は何回かいただいたことがあります。
そのお話の中で「セクハラ相談である旨を行為者の方へは知らせずに、被害者である私を異動させてほしい」ということが件数としては多いような気がいたしました。
解決はしてほしいけれど、被害者の方がそのような話をしたということを行為者の方へ知らせてほしくない、ということですね。
そのため被害者の方を行為者の方がいらっしゃるところから離してほしい、というご希望が多かったりするかなという気がいたします。
セクハラ相談についてその事実が確認できた場合は、被害者の方に対して、事案の内容や状況に応じて速やかに下記の配慮措置を適正に行うことになっております。(3-(6)にあたります)
被害者への配慮措置
・被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助
・被害者と行為者を引き離すための配置転換
・行為者の謝罪
・被害者の労働条件上の不利益の回復
・管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者のメンタルヘルス不調への相談対応等
(『事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策は あなたの義務です!!』より引用―厚生労働省HP)
行為者の方に対しても、事案の内容や状況に応じて速やかに下記の措置を適正に行います。(3-(7)にあたります)
行為者への措置
・社内規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること
・被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助
・被害者と行為者を引き離すための配置転換
・行為者の謝罪等
(『事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策は あなたの義務です!!』より引用・一部編集―厚生労働省HP)
そして再発防止措置を実施していくことになります。(3-(8)にあたります)
ただこういったことは「あまり大ごとにしないでほしい」というご相談が多いように思います。
厚生労働省のマニュアルにはご説明した内容が書かれておりますが、あくまでケースバイケースで進めていくことが重要だということです。
肩を叩く行為はセクハラになる?
あとは相談者の方が少し考え過ぎているというケースも、正直なところあったりします。
ご相談のなかで「ある方に見られることすら嫌なので異動させてください」とか「上司の方と一緒にいるのが嫌だけれども、自分は今のまま仕事を続けたいので、上司の方を異動させてほしい」など、おっしゃる方がまれにいらっしゃいます。
本当にセクハラが起こっていたら別ですが、そうとも言いきれないケースで部署異動などを相談者の方が希望された場合に、希望を全部聞き入れることができないこともあると思います。
例えば上司の方が皆に対して「頑張れよ!」と肩を叩く癖があって、その行為をセクハラだと感じる方がいらっしゃった場合。
こちらについては、この肩を叩く行為について「嫌です」と言っているかどうかも重要です。
「嫌です」と言うことに対して、上司の方が「やる気がないのだな」と言ってお仕事から外されるという行為があれば、これは完全に対価型のセクハラにあたります。
こちらに関してはパワハラかもしれないですね。
それというのも、この肩を叩く行為が性的な言動であるか否かは微妙だと思います。
全員に対して性的な言動だと思わずにしていることが明確であって、他の方々がセクハラだとは思っていないのであれば、この言動はセクハラとはいえないのではないかと思います。
この場合は「セクハラと言われたから、やめてくださいね」ということではなくて、「人に触られることが嫌だということなので、やめてくださいね」ということで終わりにすることになるのではないでしょうか。
こういった問題というのは、ご本人がセクハラだと思ったら全部がセクハラなわけではないです。
事業主さんとしてはある程度客観的に考えて、セクハラなのかどうかということの判断しなければいけません。
しかしセクハラでなければ問題を放っておいてよいかというと、そうではありませんよね。
何かされて嫌だと思ったご本人の気持ちを大事に、問題を解消できるのであればその配慮はしてあげるべきじゃないかなと私は思います。
今週のPodcastでは
職場におけるセクシャルハラスメントの視点を踏まえて、アニメ『らんま1/2』のエピソードなども交えながらわかりやすくお話ししております。
今週はここまでになります。
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