WBCで考える、「労働者性」

私の趣味のひとつはプロ野球観戦。なかでも最近は、3月5日に開幕するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の話題を目にするたび、自然と気持ちが高ぶります。国を背負ってプレーする選手たちの姿は、ペナントレースとは違った特別な高揚感があります。実は運よく観戦チケットにも当選し、私自身も球場でその舞台を目にする予定です。普段は敵同士として対戦している選手が、同じユニフォームを着て同じベンチで戦う。その光景を生で見られると思うと、今から胸が熱くなります。WBCでは、短期間での調整、慣れない守備位置、役割の変更など、選手には普段以上の適応力が求められます。それでも「日本代表」として戦うことを誇りに、全力でプレーする姿は、多くの人に感動を与えてきました。
1.社労士としてふと考える視点
一方で、社労士の私は、こうした華やかな舞台を見ながら、ふと自分の立場と重ねて考えてしまいます。国を背負ってプレーする選手たちは特別な存在に見えますが、働くという点では、私たちと同じ「労働者」といえるのではないか。そんな思いが頭をよぎります。
2.労働基準法から見る労働者性
選手たちは、監督の指示のもとで役割を与えられ、決められた時間と場所でプレーし、結果を求められます。ヒットやホームラン、アウトを取ることは、感動を生む行為であると同時に、明確な「仕事」の成果でもあります。その成果は、所属球団との契約において評価され、年俸という形で報酬に反映されていきます。労働基準法では、形式ではなく実態として「使用従属関係の下で労務を提供しているかどうか」で労働者性を判断するとされています。この考え方に照らせば、プロ野球選手も、労働者性を肯定する余地があるといえそうです。
3.労働組合法から見る労働者性
つぎに、労働組合法を見てみます。同法第3条では、「この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう」と定められています。この定義に照らすと、プロ野球選手も、労働組合法上は労働者として扱われる余地があると考えられます。また、2004年には球団合併問題をきっかけに、プロ野球選手会がストライキを行いました。この行動は、選手会が労働組合として団体交渉権やストライキ権を有する存在であることを前提に行われたものです。この点からも、プロ野球選手については、少なくとも労働組合法上の労働者性が認められてきたことがうかがえます。
4.有期契約というプロ野球選手の働き方
ただし、私たち一般的な会社員とは大きく異なる点もあります。プロ野球選手の多くは有期契約であり、怪我や成績不振が続けば、次の契約が保証されているわけではありません。WBCの短期決戦のように、限られた機会の中で結果が強く求められる世界で生きています。憧れの職業である一方で、非常に不安定で厳しい立場に置かれた労働者でもあります。WBCで全力のプレーを見せる選手たちは、名誉ややりがいだけで動いているわけではありません。自らの価値を証明し、次の契約を勝ち取るため、日々努力を積み重ねています。
5.まとめ
労働者として安心して力を発揮するためには、立場や職業を問わず、制度や仕組みが適切に整えられていることが重要です。
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執筆
松下 丘
日本大学文理学部卒業 金融機関でライフプランの相談を通じた個人向け保険営業に従事。公的な保険について興味を持ち、社会保険労務士に。2020年バラスト社会保険労務士法人(旧:恵社労士事務所)入社。就業規則作成や労働時間制度(フレックスタイム制、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度等)の相談と導入を数多く対応している。誠実で穏やかな対応に定評がある。野球好き。



