スタートアップのための労務準備ブック【基本のステップ解説】

皆さんこんにちは。
バラスト社会保険労務士法人の市川恵です。
今回は「スタートアップのための労務準備ブック」と題して、起業時に必要な労務手続きや体制づくりの基本を整理しました。これから会社を設立し、従業員を雇おうと考えている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
なお、記事内で触れているチェックリストは ダウンロードコーナー から入手できますので、お役立てください。
1. 法人設立時に必要な手続き
まず最初の分岐点は「個人事業主で始めるか、法人にするか」。法人を設立する場合には、以下のような専門家が関わります。
- 司法書士:設立登記の申請をサポート
- 税理士:税務署や都道府県税事務所への届出、帳簿・会計体制の整備
- 行政書士:建設業、飲食業、介護業などで必要な許認可申請
設立日を逆算し、希望時期にスタートできるよう、早めに専門家へ相談して準備を進めましょう。
2. 従業員を雇うときに必要な3つの基本手続き
人を雇うときには、必ず以下の3つを押さえてください。
- 労働基準法に基づく手続き
- 就業規則(10人以上で作成義務)
- 労働条件通知書(人数にかかわらず必須)
- 36協定(残業・休日労働をさせる場合に必要)
- そのほか、必要な協定や、帳簿を揃えるなど
- 労働保険(労災・雇用保険)
- 労災保険は一人でも雇えば必須
- 雇用保険は一定の労働時間を満たす方が対象
- 社会保険(健康保険・厚生年金)
- 法人の代表者に報酬が出る時点で加入義務
- 正社員は加入。パートなどでも時間によって加入が必要
3. 労務管理体制を整える
起業直後は売上や利益に意識が向きがちですが、後回しにした労務管理がトラブルの原因になることも。以下の準備をおすすめします。
- 給与体系の設計
基本給・残業代・賞与などを明確にし、労働時間に応じた支払いルールを整備。 - 勤怠ルールの明確化
出退勤や残業の扱いを最初に決めておくことが重要。 - 法定帳簿の整備
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、有給休暇管理簿の4つは必須。
4. よくある失敗と注意点
スタートアップで多い労務トラブルには、次のようなものがあります。
- 社会保険・雇用保険の 加入漏れ・手続き遅れ
- 「パートだから対象外」と誤解し、実は保険加入が必要だったケース
- 36協定未提出 による是正指導
- 就業規則や雇用契約書が整備されていないため、従業員が自由に動いてしまうケース
こうした失敗を防ぐには、雇う前に型を決めておくことがポイントです。
さらに踏み込んで労務管理全体を見直したい方は、関連記事「労務管理の大切さとは?~あらためて自社の状況を振り返ってみませんか~」もご覧ください。
5. まとめ
起業はワクワクする一方で、法的なルールを整えないと後で思わぬトラブルに直面します。スタート時にしっかり準備をして、安心してビジネスを拡大していきましょう。
バラスト社会保険労務士法人では、設立前後の労務相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。
杉並区荻窪・千葉県流山市を拠点に企業の成長を支える労務パートナーとして、貴社をサポート致します!


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執筆
市川 恵
日本大学芸術学部卒業後、採用業務に携わる。労使関係に興味を持ち2010年社会保険労務士試験合格。2012年杉並区荻窪にて恵社労士事務所を開業。2016年法人化。社労士試験に独学で合格を果たした理解力と、役者時代に培ったフリートーク力を生かし、podcast「人事労務の豆知識」、社労士オンラインサロン「#社実研」を配信中。