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企業型DCとは?制度について詳しくなろう!(2/4)

確定拠出年金

「企業型DCって聞いたことはあるけれど、良いところばかり強調されていて、なんだかちょっと怪しい…」
そんな印象をお持ちの方にこそ、読んでいただきたい記事です。
「企業型DC」は、いわゆる退職金制度の一つで、「確定拠出年金」「企業型DC」「401K」など、さまざまな呼び方がありますが、中身はほぼ同じ仕組みです。
・確定拠出年金:積立金額を決めそれを運用する退職金制度の総称
・企業型DC:会社が実施する確定拠出年金
・401K:企業型DCの通称(アメリカの制度名に由来)
今回は前回に続く2回目として、「企業型DCの仕組み」についてご案内いたします。(全4回)

1.そもそも、企業型DCってなに?

企業型DCとは、会社が従業員の“老後資金”として毎月一定額を拠出し、従業員がそれを自ら運用する制度です。
従来の退職金制度(「勤続年数に応じて○○円を支給」といった仕組み)とは異なり、企業型DCでは、会社は「毎月〇円」といった積立額(拠出額)のみを決めるというのが最大の特徴です。


2.確定“拠出”年金――意味がわかればとてもシンプル

確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan)とは、その名のとおり「拠出する金額(積み立てる額)があらかじめ決まっている年金制度」です。

【企業型DCの流れ】
①会社が毎月、従業員ごとに金額(例:5,000円、10,000円など)を決定

②決定した金額を、従業員ごとに開設された口座へ拠出

③従業員が、その口座の資金を自ら運用(定期預金、投資信託など)

④原則60歳以降に、年金または一時金として受け取る

つまり、「会社が出す退職金を、自分で運用して育てる」仕組みです。
そのため、「今積み立てているこのお金は、将来の自分のための資金なんだ」という意識が自然と芽生えやすい制度と言えます。


3.会社が設計するのは“ルール”と“金額”

企業型DCを導入するには、まず制度の設計(ルールづくり)が必要です。

・対象者(誰を加入対象とするか)
・掛金額(月額いくら拠出するか)
・勤続年数や役職によって差を設けるかどうか

掛金は月3,000円~55,000円の範囲で設計可能です。
例えば「全員一律5,000円」「管理職は月2万円」など、会社の方針に合わせて柔軟に設計できます。

【注意点!!】
企業型DCは「厚生年金に加入しているすべての従業員が対象」です。
そのため、「正社員のみ対象」「パートは除外」といった扱いは、原則制度上できません。


4.企業型DCは「導入すれば終わり」ではない

企業型DCは導入すれば終わり、という制度ではありません。
むしろ重要なのは導入後の“周知”と“フォロー”です。

・従業員が内容を理解していないと、放置されてしまう(=もったいない)
・本人が自ら運用する制度のため、「自分で考える」きっかけづくりが必要
・継続的な投資教育や制度説明の実施が不可欠

会社がせっかくお金をかけて導入しても、社員が「よくわからないけど、何かやってるらしい」で終わってしまっては本末転倒です。


5.企業型DCに向いている会社とは?

・社員に「主体的に働いてほしい」と思っている
・一人ひとりに「自分の人生と向き合ってほしい」と願っている
・福利厚生を単なる“手当”ではなく、“人生支援”として提供したいと考えている

企業型DCは、まさにそうした思いと共鳴する制度です。
会社が従業員の老後を真剣に応援していることを「制度」という形で示せる。それこそが、企業型DCの持つ大きな価値だと感じます。


6.導入の第一歩は「相談から」

企業型DCを導入する際は、まず銀行や証券会社などの金融機関に相談するところから始まります。ただし、少人数の企業では取り扱いを断られるケースもあるのが実情です。
近年では、SBIなどが中小企業向けプランを用意しており、社会保険労務士や税理士と連携した導入支援の仕組みも広がっています。

“当事務所でも導入支援を行っております”ので、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

7.企業型DCは、“会社と社員の未来”をつなぐ制度

確定拠出年金(企業型DC)は、退職金制度のひとつであると同時に、
会社が社員の人生に伴走する姿勢を「制度」として形にできる仕組みでもあります。

「主体的に働く社員を育てたい」
「制度として、きちんと老後資金づくりを支援したい」

そんな思いを持つ会社にとって、企業型DCは非常に有力な選択肢となります。

次回は、企業型DCの“お得な使い方”や“節税のポイント”など、もう少し踏み込んだ内容をご紹介します。


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平野 麻希子

執筆

平野 麻希子

明治大学文学部卒業、関東ITソフトウェア健康保険組合にて健康保険の運営に携わる。人を雇用する事に興味を持ち、社会保険労務士となる。2011年千葉県野田市にて平野麻希子社会保険労務士事務所開業。2024年バラスト社会保険労務士法人に参画。流山事業所所長。中小企業のサポート経験を活かし、助成金や社会保険の寄り添ったサポートを得意としている。

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