社会保険上の扶養について再確認してみませんか① ~被扶養者(異動)届~

1.はじめに

荻窪のバラスト社会保険労務士法人で勤務しております髙山です。

年度が替わり、新入社員を採用している企業ではお忙しい日々を過ごされているのではないでしょうか。企業によって当然差はあるものの、4月、5月頃を中心に新入社員に研修を実施し、その後の配置を決めるところが一般的なようです。人手不足が叫ばれるようになって久しい今日、せっかく入社してくれた新入社員に長く働いてもらえるよう、慎重かつ丁寧な対応を心がけてみてはいかがでしょうか。

さて、人事・労務部門の方々にはまた別の忙しさがあるかと思います。入社に伴う各種手続きです。
今回は被扶養者(異動)届の書き方について、確認の意味を込めて述べていきたいと思います。


2.被扶養者(異動)届について

社会保険制度では、被保険者本人については、一定の要件を満たすと原則として強制的に加入することになります。一方で、被扶養者については、申請を行い、健康保険組合または協会けんぽの確認・認定を受ける必要があります。

扶養に該当する家族がいても、所定の手続きを行わなければ健康保険上の被扶養者として取り扱われません。制度を適正に利用するには、従業員が家族の状況を正確に申告し、企業側がその情報をもとに必要な手続きを確実に行うことが重要です。 被扶養者として認定されると、その方は保険料の負担なく健康保険の給付を受けることができますが、これは被保険者が納めている保険料によって支えられているものであり、制度の一環として位置づけられています。


3.被扶養者(異動)届の書き方について

書き方については詳細な情報が日本年金機構のHPにあります。

日本年金機構HP

HPに掲載されていないもので注意が必要な点を述べておきたいと思います。

(被扶養者(異動)届)

B-⑦住所、C-⑥住所

「1.同居」を選択したとしてもしっかりと住所を記入しましょう

A-⑧で「個人番号を記入した場合は、住所記入は不要です。」との記載があり、そもそも被保険者と同居なのだから住所の記載は必要なさそうに感じますが、実は住所の記載が必要です

国民年金の第3号被保険者関係届のB-⑦住所欄に参考となる記載があります。ここに「※同居の場合も住民票の住所を記入してください。」との記載があり、被扶養者(異動)届の場合も同じと年金事務所の方に確認済みです。

(第3号被保険者関係届)

これまでは住所の記入がなくてもよしなに手続きを進めてくれていた場合もあったようですが、今後は住所の記入がないことのみをもって返戻になる可能性が出てきました。

被扶養者(異動)届はこれまでの健康保険証の代わりとなる資格確認書の発行に大きく影響する手続きですので、返戻になることのないようしっかりと行いましょう。資格確認書が必要な人にその発行が遅れてしまうと、医療機関での窓口負担が全額自己負担となってしまいます。もちろん、後で医療保険負担分は返してもらうことができますが、従業員の側に手間をかけさせてしまうことは企業に対する信用の低下にもつながります。従業員に長く、そして気持ちよく働き続けてもらうためにも、しっかりと手続きを行いましょう。


4.対象者が直近でお引越しをされた場合は注意が必要

被扶養者(異動)届を出す直近で対象者がお引越しをしている場合は注意が必要です。住所をしっかりと記入して届を出していたとしても「対象者の届出住所が、住基ネットの現住所と相違しています」という理由で返戻になる可能性があるからです。

理由としては、住基ネットに変更後の住所が反映されていないことが考えられます。住所欄には基本的に現住所(最新の住民票住所)を記入することになりますが、直近でお引越しがあった場合、最新の情報がシステム上に反映されていないことがあるからです。

返戻になってしまった場合は落ち着いて状況を確認し、対象者の住所変更手続きが終わっているのであれば、住基ネットに情報が反映されていることを確認してから再申請するとよいでしょう。


5.まとめ

ここまで被扶養者(異動)届の書き方について述べてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。正しく書いたとしても返戻になってしまう場合があることがお分かりいただけたかと思います。返戻になってしまったとしても、落ち着いて対応しましょう。

今回は被扶養者(異動)届の書き方について述べましたが、そもそも扶養制度とは一体どういうものかということについては次回のコラムで述べてみたいと思います。

被扶養者(異動)届に限らず、各種手続きにはそれぞれ注意すべき点があります。これらは実務を通して初めて分かる部分もあります。

弊所にお声がけいただければお手続き等のお力になれると思います。ご不明な点などがございましたら、ぜひお気軽に弊所までお問い合わせくださいませ。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。


杉並区荻窪を拠点に企業の成長を支える労務パートナーとして、貴社をサポート致します

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