荻窪にございますバラスト社会保険労務士法人の髙山です。
今回は人手不足とその対策についてと題したコラムの第3回です。障害者雇用についてを中心に取り上げさせていただきます。

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障害者雇用義務人数の計算について

民間企業で雇用している労働者が40人以上(令和8年7月からは37.5人)の場合、対象障害者を1人以上雇用する義務を負うことは前回述べたとおりですが、その「40人以上」の計算についてもう少し詳しくご説明いたします。下記計算式の「常時雇用する労働者数」の部分になります。
なお、障害者雇用率は令和7年現在「2.5%」となっており、令和8年7月以降は「2.7%」に引き上げられる予定になっています。

雇用すべき障害者数=常時雇用する労働者数×障害者雇用率

〈常時雇用する労働者〉
障害者雇用率を掛ける大もとの労働者のことです。
ただし、雇用しているからといって全ての者がその数に含められるわけではありません。以下の条件のいずれかに該当する者が常時雇用する労働者に該当します。

①期間の定めのない雇用契約を結んでいる労働者
②1年を超える雇用契約を結んでいる労働者
③期間を定めて雇用している者で、かつ、1年を超えて引き続き雇用している者、または、1年を超えて引き続き雇用すると見込まれる労働者
④日々雇用している者で、雇用契約を日々更新し、かつ、1年を超えて引き続き雇用している者、または、1年を超えて引き続き雇用すると見込まれる労働者

なお、「1年を超えて引き続き雇用すると見込まれる労働者」に当たるのは次のいずれかに該当する場合です。

・1年を超えて雇用しないことが明らかな場合以外
・類似する雇用契約の労働者を1年を超えて引き続き雇用している場合

上記①から④に該当する労働者を「常時雇用する労働者」とし、その総数に障害者雇用率を掛けることになります。
ただし、週所定労働時間によってその総数の数え方が変わってきます。具体的には次のとおりです。

〈週所定労働時間が30時間以上の場合〉
労働者1人を「1」とカウントします。

〈週所定労働時間が20時間以上30時間未満の場合〉
労働者1人を「0.5」とカウントします。

〈週所定労働時間が20時間未満の場合〉
労働者1人を「0」とカウントします。

つまり、週所定労働時間が30時間以上の労働者を100人雇用している場合、「2人」の対象障害者を雇用する義務を負うことになります。

100人 × 2.5% = 2.5人 ※計算結果の「1未満」の数は切り捨てられるため「2人」

週所定労働時間が30時間以上の労働者を50人、20時間以上30時間未満の労働者を50人雇用している場合、「1人」の対象障害者を雇用する義務を負います。

(50人 + 50人 × 0.5) × 2.5% = 1.875人 ※「1未満」の数は切り捨てられるため「1人」

また、極端な例ですが、週所定労働時間が20時間未満の労働者のみを雇用している場合、雇用している労働者に「0」を掛けることになるため、結果的に対象障害者の雇用義務が発生しないことになります。
なお、計算結果に「1未満」の数が生じた場合は切り捨てとなることの根拠は障害者雇用促進法第43条に示されています。

(参考:障害者の雇用の促進等に関する法律

役員等について

障害者雇用率を掛けるのは「雇用している労働者」なので、雇用している労働者とみなされない者はカウントされません。具体的には次のような方々です。

・取締役などの役員(雇用保険の被保険者は除く)
・派遣会社から派遣されている労働者

休職中の労働者について

休職中の者は、その休職前の雇用関係、週所定労働時間などを基にカウントします。
例えば、週所定労働時間30時間以上の者が産前産後休業、育児休業等で休業中の場合、「1」とカウントします。
また、育児・介護のための短時間勤務制度により所定労働時間が短くなっている場合であっても、短時間勤務制度を利用する前の週所定労働時間でカウントします。

おわりに

常時雇用する労働者を数えるだけでもかなり大変なことがお分かりいただけたかと思います。
さらに、障害者の雇用状況を「障害者雇用状況報告」として報告する義務、また、定められた人数の障害者を雇用できなかった際に納める「障害者雇用納付金」というものもございます。これらについては次回以降述べたいと思います。

これまで述べてきたところ以外にも注意すべき点はたくさんあるため、実際に計算する際には専門家の助言を受けるとよろしいかと思います。
弊社にお問い合わせいただけましたならば全力でサポートさせていただきますので、お気軽にお声がけいただけますと大変うれしく思います。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。について述べたいと思います。

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