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社労士と始める、フレックスタイム制の導入ガイド② ~制度設計と労使協定~

フレックスタイム制

前回のコラムでは、フレックスタイム制の概要について解説しました。今回はその続編として、実際に制度を導入する際に欠かせない「労使協定」のポイントを取り上げます。フレックスタイム制を適切に運用するためには、明確な制度設計と、それを裏付ける労使協定の締結が不可欠です。労使協定は単なる書類ではなく、会社の働き方をデザインする「設計図」といえます。本コラムでは、労使協定に盛り込むべき主要項目を、社労士・松下の実務的なコメントを交えて紹介します。


記載例:フレックスタイム制に関する労使協定

 バラスト社会保険労務士法人と従業員代表 松下 とは、労働基準法第32条の3の規定に基づき、フレックスタイム制について、次のとおり協定する。

(フレックスタイム制の適用従業員)

第1条 コンサルチームに所属する従業員にフレックスタイム制を採用する。

松下コメント:誰をフレックスタイム制の対象とするかを定めます。業務内容や入社歴、職務の性質を考慮して、慎重な選定が重要です。

(清算期間)

第2条 労働時間の清算期間は、毎月初日から末日の1ヶ月とする。

松下コメント:働くべき労働時間の総枠を決める期間を定めます。1か月単位に設定することで、勤怠集計期間と一致させやすく、労働基準監督署への届出も不要になります。

(総労働時間)

第3条 清算期間における総労働時間は、1日8時間に清算期間中の所定労働日数を乗じて得られた時間数とする。

松下コメント:清算期間内の総労働時間を定めます。週休二日制の場合は「8時間 × 所定労働日数」で算出する形がシンプルで運用しやすくおすすめです。

(1日の標準労働時間)

第4条 1日の標準労働時間は、8時間とする。

松下コメント:年次有給休暇等、賃金計算の基準となる時間数になります。

(コアタイム)

第5条 コアタイムは午前10時から午後4時とする。

⇒松下コメント:1日のうちで必ず働かなければならない時間帯のことです。最近ではコアタイムを設けない企業も増えていますが、組織運営の観点から設けることをおすすめします。

(フレキシブルタイム)

第6条 フレキシブルタイムは、次のとおりとする。

始業時間帯:午前7時から午前10時までの間

終業時間帯:午後4時から午後7時までの間

松下コメント:1日のうちで選択により働く時間を決定する時間帯のことです。時間の幅を広めに設定することで、従業員の柔軟な働き方を実現しやすくなります。


まとめ

フレックスタイム制は「自由」を実現する制度です。しかし、内容を誤ると、かえって「不自由」な制度にもなりかねません。大切なのは、会社の実情に合った制度設計と、現場で機能するルールを明確に定めた労使協定を作成することです。そのためにも、経験豊富な社労士と一緒に制度を組み立てていくことを強くおすすめします。

バラスト社労士事務所では、フレックスタイム制の導入に向けてご支援が可能です。東京都杉並区荻窪をオフィスとするバラスト社会保険労務士法人は、総勢10名以上が在籍するチームワークの良い事務所です。ぜひ1度お気軽にご相談ください。

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次回は、「時間外労働編」として、給与計算の考え方について解説します。(松下)


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松下 丘

執筆

松下 丘

日本大学文理学部卒業 金融機関でライフプランの相談を通じた個人向け保険営業に従事。公的な保険について興味を持ち、社会保険労務士に。2020年バラスト社会保険労務士法人(旧:恵社労士事務所)入社。就業規則作成や労働時間制度(フレックスタイム制、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度等)の相談と導入を数多く対応している。誠実で穏やかな対応に定評がある。野球好き。

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