こんにちは。バラスト社会保険労務士法人 鵜頭(ウノズ)です。社労士事務所スタッフとして、労働者の働きやすい環境づくりを通じて、少しでも事業主の皆さんのお力に立ちたいと思います。さて今回は、社会インフラとして生活の安定を図り、社会保険制度の中核とも言える「健康保険」で受けられる保険給付についてご紹介します。
健康保険を上手に活用!従業員や家族を支える安心と支援
健康保険は、働く人たちが安心して日々を送るために欠かせない制度です。加入していることで医療費の負担が軽くなるだけでなく、出産や休職など、ライフステージのさまざまな場面で、頼りになる制度です。ただ、制度の内容を知らなかったり、知っているがどう使えばわからない…という声も少なくありません。今回は、健康保険で受けられる主な給付内容と仕組みをご紹介します。
健康保険の主な給付内容
健康保険は、医療費の負担軽減だけではなく、思いがけない出来事や大切なライフイベントでサポートを提供します。以下が主な給付内容です。
給付の種類 | 内容と具体例 |
---|---|
療養給付 | 病院でかかる医療費の自己負担が原則3割で済む制度です。たとえば10万円の治療費が発生しても、実際の負担額は3万円になります。 |
高額療養費制度 | 医療費が一定額を超えた場合、超過分が戻ってくる仕組みです。例として、がん治療などで100万円の医療費がかかった場合でも、収入に応じて自己負担を抑えられます。 |
傷病手当金 | 病気やケガで働けなくなったとき、通算1年6カ月、給与の3分の2相当を受け取れます。たとえば月給30万円なら、月に最大約20万円が支給されます。 |
出産育児一時金 | 被保険者や配偶者が出産した場合に支給される一時金です(約50万円)。分娩費用の大部分をカバーできます。 |
出産手当金 | 出産前後の休業期間中(産前42日・産後56日)、給与の約3分の2が支給されます。 |
高額療養費制度の例
医療費が一定額を超えた場合に、その超過分を保険が補填してくれる仕組みです。
例:30代会社員(標準報酬月額28万円)の場合
• 医療費:100万円
• 自己負担額:約8万7千円強(負担限度額)
• 差額の91万2千円強が健康保険から補填
この補填は1か月(同じ月)ごとの計算で行なわれます。大きな手術や長期治療でも月ごとの経済的な負担を少しでも軽くし、安心して治療に専念できれば良いですね。
傷病手当金と出産手当金の例
傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった場合に、給与の3分の2を支給してくれる制度です。また、出産手当金は、産前・産後休業中の生活をサポートします。
例:月給25万円の従業員の場合
• 1日あたりの支給額:約5,500円強
• 産前産後休業98日間の合計支給額(最大):約54万円
扶養制度や退職後の保障
さらに、健康保険の大きな魅力として「扶養制度」があります。条件を満たすご家族を扶養にすることで、同様の給付をご家族も受けられます。加えて、退職など資格喪失後も「任意継続」制度を利用することで、一定の期間、同様な給付を受けることが可能な場合もあります。
まとめ
事業主の方には、この健康保険を活用するメリットをぜひ従業員に伝えていただきたいと思います。従業員の方が制度を知らなかったり、申請手続きを忘れてしまったりして、本来受けられる給付を逃してしまうケースはないでしょうか?「困ったときに支援してくれる制度がある」という安心感が、従業員のモチベーション向上につながるかも知れません。
社内ポータルサイトや動画解説などで、従業員が制度を理解し、活用しやすい環境づくりを始めてみませんか?制度の内容や運用方法で迷うことがあれば、社会保険労務士などの専門家のアドバイスを活用してみてください。従業員も企業も、安心して働き成長していける職場環境を作っていきましょう。
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